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bouncyが定期開催しているファンイベント「bouncy Lab.」が10月30日昼に開かれた。オンラインでの開催としては3回目となった今回のテーマは「コロナ禍を生き抜く 逆境のリーダー論」。
「観光業界の革命児」と呼ばれる星野リゾート代表の星野佳路さんと「サンリオピューロランドV字回復の立役者」である株式会社サンリオエンターテイメント代表の小巻亜矢さんが1時間にわたり語り合った。bouncyの津田啓夢・編集長が司会役となった。
冒頭から引きつける
実績を残してきた2人だけに、冒頭にあった紹介タイムから視聴者を引きつける言葉を発した。
星野さんは、経営難の会社をついで社長になった当時を「人材難で苦労した」と振り返った。人材のリクルート目的で「星野温泉」から社名を「星野リゾート」に変更しても効果なし。結局のところ、「地道に会社の魅力をつけていった」。新卒採用が軌道に乗るまでは5、6年を要したという。
小巻さんも、次のように応じた。
「一朝一夕には組織は変わらない。大型投資が厳しい時には、地道に課題の根幹にあるものを見つけて、それをクリアにしていくことを繰り返していくうちに、成功が積み重なり業績が回復して来た」
この言葉を受け、星野さんも「小さい成功を積み上げる感覚は共感する」とし、リアルな「再生の現場」の実体験を語った。
「大きな投資、大きな策に踏み込めなのが再生の現場。小さな成功で自信がつく。業績が悪くなると自信を失い、負け癖がつく。小さな成功が自信回復につながり、プラスに働く」
「倒産確率」を公表
「コロナの影響 変わったこと・変えたこと」のテーマでは、星野さんが用意した資料を提示しながら対応策を明かした。
コロナ禍での「基本3大方針」に掲げたのは、「現金を摑み離さない」「人材を維持し復活に備える」「CS・ブランド戦略の優先順位を下げる」。
観光業は新型コロナウイルスの影響が最も大きかった業界の一つなだけに、明確な方針を打ち出した。
その上で「危機対応」としての三つの行動も明かした。「①優先順位の組み替えをトップダウン即決で決断し明確にする」「②危機脱出作戦の内容と現況を情報発信」「③コスト削減時にも作戦内容にはリソースを優先配分」。
また、自社の「倒産確率」を開示し、従業員一体となってコロナ禍を乗り切れるような情報発信に努めたとした。
「書き込みが励みに」
サンリオピューロランドもコロナ禍の2~7月に施設の休館を余儀なくされた。リアルな対面ではお客を迎えることはできなくなったが、その分、オンラインでの情報発信に力を入れた。
小巻さんは語った。
「キャラクターやピューロランドはここにいるよとお客様に毎日発信し続けることが、巡り巡って社員同士もモチベーションが下がらなくなる」
「お客様の書き込みがすごく励ましになった。コミュニケーションが人を支えるのを体感した」
当初、オンラインの発信は無料で実施していたが、お客からの「自分たちはピューロランドを応援したい」との声を受け、有料化したことも紹介された。
星野さんが小巻さんにピューロランドの客層を尋ねる場面もあった。男性だけのお客も来ていると教えられると、驚いた様子だった。
今後もイベント開催
異なる会社を率いるリーダーたちの話は密度が濃く、コメント欄にも書き込みがあふれた。「(取り組みを)参考にします」「私が勤める会社の社長にきいてもらいたかった」などの投稿があった。
1時間と限られた時間の中でも、参加者が持ち帰ったものは多かったようだ。このコロナ禍で変化を迫られるのは、会社のマネジメント層に限らない。中堅、若手社員にも星野さん、小巻さんの言葉が何らかのヒントや刺激になったのではないだろうか。
イベント動画のアーカイブは、bouncyのYouTubeチャンネルまで。bouncyでは引き続き、皆さんの未来を豊かにするオンラインイベントを開催予定だ。