Culture

熊本の山奥からマンガ大賞受賞『ニュクスの角灯』高浜 寛インタビュー。テレワーク歴15年の漫画家の仕事

最近はテレワークやリモートワークが一般的になり、働き方が大きく変わった人も多いのではないでしょうか?

そんなテレワークを15年前から実践し、現在は自給自足を目指して熊本県天草の山奥で暮らす漫画家の高浜 寛(たかはま・かん)さん。場所を選ばない仕事のスタイルで、2020年は著作「ニュクスの角灯(ランタン)」で、手塚治虫文化賞で年間を通じもっとも優れた作品に与えられる「マンガ大賞」に輝きました。

漫画制作という特殊な仕事をテレワークでこなす高浜 寛さんに、その仕事術についてインタビューしてきました。

編集者とのやり取りはすべてDropbox

高浜さんはデビュー以来、国内に先駆けてフランスで高評価を獲得。著作の多くが海外で翻訳されています。つまり、海外の編集者ともリモートでやり取りして、漫画を作り上げているのです。

今回の大賞受賞作は東京・高円寺にあるリイド社から出版されており、こちらも東京ー熊本間のリモート作業で連載を無事終えています。

漫画といえば、編集者と密にやり取りしながら仕上げていくイメージですが、高浜さんはどのようにしてこれらの作業をテレワークでこなしているのでしょうか。

——テレワーク歴はどれくらいですか?
高浜 寛:もう15年くらいになるかもしれないですね。生原稿を入稿したことは、多分一回もないかもしれない。初期のころからずっとデジタルでやっています。

——漫画を作る一連の流れについて教えてください
データのやり取りはほとんどDropboxを使っています。担当の編集者とはフォルダを共有しておいて、そこに私がラフも原稿も入れて、編集者が確認できるようにしています。逆に編集者からゲラを入れてもらって、こっちでチェックしたり。

データを共有した後のやり取りは、メールの時もあるけど、電話ですることが多いですね。それで全部済んでしまうので、どこに住んでいても不自由はないかな。

山奥にいても海外にいても仕事ができる

——テレワークのメリットとデメリットは?

高浜:例えば、〆切前に韓国に行ってそのまま現地で仕事できること。海外でプロモーションが1ヶ月くらい続くこともあるので、向こうで制作して入稿まで済ませられるし。コロナの後も、作業に関しては問題はなかったですね。

ずっとリモートで不自由があるとすれば、段々とお互いに温度差が出ることですね。私が熊本にいて、編集者が東京やフランスにいて、距離があるままでもやり取りはできるけど、「大きなプロジェクトをやるぞ」ってなった時に、熱量が伝わってなかったりする。こっちだけアツアツで全然伝わっていない、みたいな(笑)

そのメンテナンスのために、何ヶ月おきにどっちかがどっちかに会いに行ったり、用事がなくてもお茶したり、ご飯食べたり、そういうことが意外に重要なんじゃないかって、この頃感じます。

未来の漫画家のモデルケースへ

——漫画の未来について考えていることは?
高浜:希望からいくと経済がもっと上向きになって、若い駆け出しの漫画家たちが、もっと取材にお金をかけられるようになればいいなと思っています。漫画の資料やいい液晶タブレットを買うにも、いろんな体験や経験をするにも、資金がいりますよね。それが、今の日本の経済状況だとハードになってきていると思います。

山奥で漫画を描く私自身が頑張って、「こういうモデルケースがある」と示すことで、若い人たちも何かそれがヒントになればいいなと。

例えば田舎に住めば、生活費はすごくカットできるし、家賃もかからないし、水も湧いてるし、野菜も安いし、原稿はインターネットで転送できるし。そうすれば同じ収入の中から自分の経費にかける分が増えたりしますよね。

そういう仕組みをうまくシステム化して、低予算でもいいものができるようになり、自分がしたいこととか仕事にお金が回せるように、アイデアを出しあえるといいなと思っています。



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ユニークな仕事のスタイルで成功を収める高浜 寛さん。「どこにいても漫画が描ける」という気づきが、未来の漫画家を誕生させる架け橋になるのかも。

なお、インタビュー当日は気になる話題やネタをフカボリ取材する「withnews(ウィズニュース)」の記者との合同取材で、withnewsでも特集記事が公開されています。高浜 寛さんについてもっと知りたい方は、下記リンクからご覧ください。

「ポジションがなくなる…」アルコール依存だった漫画家・高浜寛さん | withnews(ウィズニュース)

手塚治虫文化賞

朝日新聞社

CREDIT
Videographer / Writer / :のだゆうた
SNS :にしまり

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