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日本酒を堪能する決め手は酒器!獣医学生MissSAKEが選ぶ「錫ちろり」と「ワイングラス」【Moovooモノ語り】

日本酒を堪能する決め手は酒器!獣医学生MissSAKEが選ぶ「錫ちろり」と「ワイングラス」【Moovooモノ語り】

松井 詩
2020-09-15
2020-09-18

連載

Moovooモノ語り

その道の専門家や著名人が愛用品へのこだわりと、それにまつわる物語を綴る連載「Moovooモノ語り」。第11回目は、2020 Miss SAKEの松井詩さん。日本酒の味わいの楽しさに気づかせてくれた酒器、錫ちろりとワイングラスについて語ります。

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松井 詩
1995年生まれ。両親の仕事の関係で5歳から10歳をアメリカ(NJ)、15歳から19歳をシンガポールで過ごす。その後進学した北海道で日本酒の味わいに魅了され、2020 Miss SAKEに応募。2020 Miss SAKE北海道代表を経て、今年7月に2020 Miss SAKE Japanに選ばれる

気温差60℃、灼熱シンガポールから極寒の北海道へ

「グランプリは…。北海道代表 松井詩!」
手が震え、泣き出しそうになる不安と緊張感の中、あの日みた光景を、私は一生忘れない。

松井詩さんが2020 Miss SAKEの最終選考でグランプリを取った時の写真

幼少期に田舎で育った私は、鹿や、野ウサギ、ラクーン等多くの動物たちの命を身近に感じ育ってきた。動物の命を直接救う職業に就きたいとの思いから、獣医学部への進学を目指したのは必然的なことなのかもしれない。

父の仕事の関係で、中学2年生から高校卒業までを過ごした灼熱の国シンガポールから、北海道十勝の大学へ単身で移住を決意。

赤道直下のシンガポールと真冬の北海道の気温差は実に60℃。5年ぶりの雪と、あたり一面真っ白な田園風景に心が弾んだ。

その後、学生として忙しくも充実した日々を送る中で、いつしか目を輝かせた白銀の世界も長すぎる厳しい冬の寒さの前に、次第に色褪せて映るようになった。

そんな中、友人に連れられ、帯広の『北の屋台』に足を運んだ。飲んでほしい日本酒がある、と勧められた日本酒は熱燗(50℃以上に温めて)で飲むのが一番美味しく飲めるとのこと。

(温度によって味わいが変化するのか・・・)

衝撃を受けつつも、一口、口に運んでみる。

今度は、お店の方がお勧めしてくれたアテと一緒にまた一口。

凍えた指先から伝わる酒器の温かさ、強張る体に染み渡る日本酒の味わい、お食事を引き立て口から鼻に抜けるその繊細な香りに、心から、感動した。その一方で、厳しい冬の外気温が熱燗の魅力をより一層強固なるものにしていることに心底驚いた。

私の中の好奇心と探求心は留まることを知らず、熱燗を美味しく作るお店で出された「錫ちろり」をすぐに購入した。自宅で美味しい熱燗を作るためだ。いくつもの日本酒を様々な温度帯で試してみた。

松井詩さんの錫ちろりの写真

30度の日向燗、35度の人肌燗、40度のぬる燗、45度の上燗、50度の熱燗、そして55度以上の飛びきり燗。一般的には温度が上がるほど、コクと深みをもった味わいになり、辛さを感じやすくなるといわれる。

燗酒の中でも私のお気に入りはぬる燗だ。日本酒にはコハク酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、クエン酸など多くの酸が含まれる。

高温すぎない絶妙な温度である『ぬる燗』は、日本酒に含まれる酸をよりまろやかで優しい味わいへと変化させ、コクと酸味の調和を生み出す最適な温度であると思う。

北海道の冬は長い。季節の移ろいに合わせて、今日はこのお酒とこれを合わせてみよう、と考えるのがいつしか毎日のささやかな楽しみになっていた。

獣医学が繋いだ、2020 Miss SAKEとのご縁

北海道の草原にいる牛の写真

獣医師を目指し過ごす学生生活。大きな夢に向かって歩む日々の中、日本酒の魅力にも引き込まれた。

(今日は少し暖かいからこの日本酒に、季節のこの食材を合わせてみようかな?)

そうやって日本酒を楽しむようになり、季節や気候の小さな変化に感動し敏感に感じ取ることができるようになった。

北海道の四季は目まぐるしく、色鮮やかに変化する。

8月の終わりが近づくと、朝晩には厳しい寒さの到来を思わせる風が肌をなでる。いつしか木々が色づき始め、牧草ロールが風物詩となり『食欲の秋』だ『読書の秋』だと考えている間も短く、色鮮やかな秋に白い雪が混ざる。

地平線まで続く白銀の世界。時が止まってしまったかのような時間もまた、10月から3月へと長い時間をかけ、雪が解け、水に変わり、山から流れていく。世界に色が戻り、ゆっくりと草木が芽吹き、動物達が目を覚ます。

当たり前かのように見えた一つ一つの四季の移ろいが、より一層輝きを増して目に映るようになったのは日本酒に出会えたからだった。

日本酒を通じて、小さな四季の変化に、心が躍動し、震えるような喜びを感じるようになった。

北海道の湖と空と山の写真

季節に合わせ、燗酒だけでなく、冷酒も私の楽しみの一つになった。日本酒への興味が増し、テスト期間が終わると新しい日本酒のお店を開拓した。

メニューを開くと、日本酒度、精米歩合での識別だけでなく、県ごとに日本酒を分類しているお店を多く見つけた。

するとふと、大学で専攻した獣医学の勉強や十勝の生産者さまたちとご縁を築くことを通し、目の前の食にどれだけの歳月と命と人の思いが凝縮されているかを、肌で感じたさせられたことを思い出した。

ミス日本酒の松井詩さんが牛に聴診器を当てている写真

自然とメニューにある日本酒が生まれた産地、風土に想いを馳せる。

北海道での経験が、大好きな日本酒の知識にも繋がっていることに、この時気がついた。

日本酒は並行複発酵で作られる。並行複発酵とは、米麹を用いたお米に含まれるデンプンがブドウ糖に変化する『糖化』と、酵母を用いたデンプンがアルコールに変化する『アルコール発酵』を同時に行う発酵技術を指す。

並行複発酵は世界的にみても、大変珍しい発酵技術であり、高濃度のアルコール生成が可能となる。

世界に類を見ない、日本酒の複雑な醸造工程は、物づくりに特化した日本だかからこそ生まれた味わいであることを痛感した。

古くから私たちの生活と寄り添い、歴史をともに歩んできた、日本酒。現代では人と人とのご縁を築き、私たちの素直な気持ち・感情を思い出させてくれる大切な品。

日本酒ならではの魅力を日本の美しき文化として自身が世界に広める役割を担いたい、自分自身も日本酒の奥深さをもっともっと知りたい、という気持ちを胸にMiss SAKE Japanを目指した。

ミスの経験で発見した日本酒とワイングラスの相性

千差万別の感動と楽しみをもたらしてくれ、日本人としての誇りを感じさせてくれる日本酒。

人と人とを繋ぎ、酒縁を通して、心に豊かさをもたらしてくれる日本酒。

様々な日本酒との出会いを重ねるたび、ますますその奥深さに、魅せられてきた。

2020 Miss SAKEの最終選考会では、自分の人生に多大なる影響を与えた日本酒への思いを、与えられた一分間という時間の中で、自身の魂を乗せ、スピーチを行った。

そしてグランプリ発表の時。自分の名前が呼ばれた瞬間、信じられないという驚きと胸いっぱいの喜びに、体全身が包まれた。

松井詩さんがミス日本酒の最終選考でグランプリを取りスピーチをしている写真

最終選考会までの、6か月間の準備期間、日本酒について学びを深める中で、知れば知るほど、そして様々な日本酒との出会いを重ねるたび、ますますその奥深さに魅了されてきた。

数多くの魅力を持つ日本酒だが、北海道の冬の寒さの中、身をもって体感した【様々な温度帯で楽しむことが出来るお酒】というのは日本酒にしかない類い稀なる魅力であると私は思う。

温度により味わい、香りには大きな変化が生まれ、それを最大限引き延ばすためには酒器の選択が大変重要になる。

そこでふと、私は父から譲り受けたワイングラスを思い出した。

ワイングラスはもともと両親の結婚祝いの際に、友人から引き出物として頂いたものだそうだ。家族のお祝いの席には必ずそのワイングラスがテーブルに並んでいて、私にとっては親しみのあるものだった。

私は幼少期からアメリカ、シンガポールで生活してきたのだが、私の父は大のワイン好きで、幼少期の思い出にはアメリカのワイナリーが色濃く残っている。

ミス日本酒松井詩さんが幼少期の頃ワイナリーで撮影した家族写真

夢の為、単身で北海道に移住することが決まった際、家族とともに過ごしてきたその思い出のワイングラスを父から譲り受けたのだった。

私はこのワイングラスを使って、お気に入りの純米吟醸酒を冷酒で飲むことに。

ステムを持ちワイングラスを口に近づける。早熟な果実を思わせる華やかでフルーティな香りに加え、今まで気づくことのなかった繊細な香りふわっと広がった。

日本酒を注いだワイングラスの写真

日本酒は、銘柄ごとの味わいの違いがあり、同じ日本酒も温度で大きくその表情を変える。その一方で、酒器の素材や形状によっても味わいはさまざまに変化する。

日本酒の器として馴染みの深い『おちょこ』。「ぐいぐい飲める」をその語源とし、香りの膨らみを堪能することが可能な『ぐい呑み』。そして神事などの儀式でも使われる、日本の伝統的な酒器『盃』。

日本酒を呑むための器には様々な種類が存在し、それぞれ形や用途、容量が異なるため飲み方に適した器を選ぶのが最も重要である。

ワイングラスは脚がある事で、手のぬくもりが伝わりづらく、冷酒ならではの香りを長時間楽しませてくれる。

蔵人が丹精込めて作り上げた日本酒の『香り』を心ゆくまで楽しみたいと思った時、香りが逃げず味わいが持続し、丸い形状によりふわっと香りが膨らむワイングラスをぜひ選んで頂きたい。

薄いガラスは口に触れるときもお酒の邪魔をしない為、日本酒本来の味を楽しむことが出来る。

なのでワイングラスもまた、実はその他の日本酒の伝統的な酒器にも引けを取らない、日本酒を五感で堪能できる酒器であるのだ。

幾度となく感動を与え続け私の愛してやまない日本酒には、酒器による香りの変化という、まだ見ぬ魅力がある事を知り、これ以上ない感動を覚えた。

家族の歴史を紡いできた、ワイングラス。

そしてこれから歩んでいく、Miss SAKEとしての自分の未来。

「Miss SAKE Japan」という誇りある称号をもらってから次回、初めて父と再開するその時は、幼い頃眺めているだけだったこの思い出のワイングラスで乾杯しよう。

Miss SAKEとして、日本酒の魅力を継承していく第一歩にするために。

PICK UP①
  • 能作(nousaku)
  • 錫ちろり

  • 税込み9,900円
  • 北海道の冬も乗り越えられる!熱燗作りのとっておき

  • 30度の日向燗、35度の人肌燗、40度のぬる燗、45度の上燗、50度の熱燗など、様々な温度帯で日本酒を楽しみたい人におすすめ。錫の上品な銀色がきらきらときれい。

PICK UP②
  • Sghr(スガハラ)
  • ワイングラス モール バイオレット

  • 税込み4,730円
  • 和食を華やかに彩る日本酒のお供

  • ワイングラスは脚がある事で、手のぬくもりが伝わりづらく、冷酒ならではの香りを楽しめる。伝統的な酒器にも引けを取らない、日本酒を五感で堪能できるグラスの一つ。


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