Culture

お茶を通して日本文化を見つめ直す日本茶専門店「東京茶寮」

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東京の住みたい街ランキングで常に上位にランクインする世田谷区・三軒茶屋の駅から徒歩7分の場所に、今年の1月、ハンドドリップで日本茶を淹れる専門店「東京茶寮」がオープンした。デザインユニットの「LUCY ALTER DESIGN」が企画し、これまでにさまざまなコーヒーショップでバリスタを経験した野口三基氏が店長を務めている。


コーヒーの技術を日本茶に転用し、昨今注目されるスペシャルティコーヒーのように、ハンドドリップで一杯ずつ丁寧に淹れる、まったく新しい日本茶のスタイルを提案。茶葉やドリッパーを始めとする道具など、お茶にまつわるあらゆることを一から再定義することで、繊細な香りや味が豊かに引き出されている。


個性的な店のオーナーは「LUCY ALTER DESIGN」取締役の谷本幹人氏。若干27歳の谷本氏は、どのようにして独自のスタイルの日本茶にたどり着いたのか?今回は野口氏が淹れるお茶をいただきながら、谷本氏に話を聞いた。

シングルオリジンでお茶の個性を楽しんでほしい

——店を始めたきっかけは?


谷本:2015年にデザイン会社「LUCY ALTER DESIGN」を立ち上げた時から、日本人として世界に誇れるプロダクトを作りたいという思いがありました。そこで世界の市場に目を向けると、コーヒーや紅茶といったカフェインを含む飲み物が各国で愛されていることに気付きました。

コーヒーで何かを展開するという発想もよぎりましたが、産地も赤道の国なので、コーヒーは日本人からすると、言わば“借り物の文化”。その時、意外とスポットライトが当てられていない日本茶なら、独自のアプローチで展開ができるのではと考えて、この店を始めました。

——「独自のアプローチ」とは?


谷本:最も特徴的なのは、生産者・農園・品種を指定して仕入れることで、シングルオリジン煎茶を多数取り扱う世界でも類を見ない店舗ということです。世の中に出回っている茶葉は、基本的に複数の産地と品種をブレンドすることで味が変わらないようにしているんです。

一方、当店では、多いときは20種類以上のシングルオリジン煎茶を用意しています。甘みとうまみが豊かな茶葉や、中にはよもぎのようなフレーバーを感じる野生的な茶葉など、個性豊かな味わいは、一度口にすれば煎茶の価値観が変わると思います。

日本茶専用のドリッパーを独自で開発

——なぜ日本茶なのに、急須ではなくドリッパーを使っているんですか?


谷本:日本茶専用ドリッパー「GREEN DRIPPER」は、私たちが独自に開発したものです。煎茶は昔から急須で淹れる文化ですが、その形や大きさは実にさまざまなので、使う茶葉の量や湯量、蒸らしの時間などにも、これまで明確なルールがありませんでした。

私たちは、器具をこのドリッパーに統一することで、すべてをレシピ化し、誰が淹れても美味しいお茶を楽しめるようになると考えました。そのため、ドリッパーを開発するうえで、お湯の温度や、そこから生じる成分の割合など、科学的な見地から徹底的に研究し、数値化しました。また、日本のものづくりにこだわり、ドリッパーの各部品には、長崎県の波佐見焼や、新潟県・燕三条の金物など、日本各地の伝統的な技術を採用しました。

日本茶を通して感じる日本の魅力

——日本茶を通して感じる、日本の魅力はありますか?


谷本:お茶の生産者さんと直接関わり、仕事に対する真面目な姿勢に触れて、こんな風にひとつのことを突き詰めることができるのは、日本人ならではだと感じました。それなら、私は販売という立場で突き詰めようという気持ちで、この店をやっていています。

——最後に、お客さんにはどんな風に日本茶を楽しんでほしいですか?


谷本:お茶はコーヒーと同じカフェインを含む飲み物ですが、コーヒーが緊張や覚醒をもたらすのに対して、お茶にはテアニンというリラックス成分が含まれているので、逆に緊張を緩めるという効果があります。ここにくるときは、禅ではないですが、いったん仕事のことを忘れて瞑想するような気持ちで、無心になってもらえるといいですね。

茶葉にはじまり、道具や器、インテリアなど、日本茶を通して日本のアイデンティティや文化を細部まで見つめ直したいと最後まで谷本氏は熱心に語った。

ハンドドリップでいただく日本のお茶を味わって、日本文化を見つめ直してみては?


営業時間:平日 13:00~20:00/土日祝 11:00~20:00
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日休み)

住所:東京都世田谷区上馬1丁目34−15



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