【AGA専門医が解説】飲み薬タイプの発毛剤の効果と副作用

matsumura
公開: 2020-04-28

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薄毛や抜け毛といった髪の悩み対策に効果的な発毛剤。塗るタイプの発毛剤を使ってみたけれど思うような効果が得られず、飲むタイプの発毛剤について調べている、という方も多いのではないでしょうか。

しかし塗る発毛剤と比べて、飲む発毛剤は体内に取り込むので「副作用が出るのでは?」「男性機能に影響があるのでは?」と気になって使用をためらっている方もいるでしょう。

そこで今回は、飲む発毛剤の使用を検討している方へ向けて、飲み薬タイプの発毛剤の効果と副作用について解説します。

AGA治療専門医であるゴリラクリニック総院長の稲見医師に伺ったアドバイスもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。


AGA治療の専門医師

取材協力

  • 医師/ゴリラクリニック総院長
  • 稲見文彦(いなみふみひこ)総院長

  • 東邦大学医学部卒業後、大手美容整形外科で10年以上医師として勤務し、ゴリラクリニックの総院長に就任。AGA治療に加えてスキンケアや脱毛など医療の観点からメンズ美容に関する治療を提供しています。テレビや雑誌などのメディア出演も多く、男性の悩みに関する情報発信を積極的に展開しています。

今回は、AGAについて深い見識を持つ稲見医師に飲み薬タイプの発毛剤の効果や副作用について取材しました。

稲見医師は10年以上の美容整形外科のキャリアの中で、男性も見た目を気にする時代になり、髪や肌の悩みに応える美容クリニックが必要だと感じ「ゴリラクリニック」の総院長に就任します。

ゴリラクリニック大阪梅田院

クリニックでは男性型脱毛症(以下、AGA)に悩む患者に向けて、フィナステリド・デュタステリド・ミノキシジルといった内服薬の処方や、成長因子製剤の注入療法などの幅広いAGA治療を提供しており、稲見医師も多数の患者を抱えるAGAのエキスパートです。

ゴリラクリニックのAGA治療の様子

取材の中で稲見医師は、多くの患者から脱毛や薄毛に関する相談を受けて、飲み薬タイプのAGA治療薬のメリットを感じていると言います。

飲む発毛剤の効果や副作用に関する情報に加えて、発毛剤に対するAGA治療の専門医としての率直な意見もいただきました。記事の後半でご紹介しますので、ぜひそちらもご確認ください。

飲み薬タイプの発毛剤って何?

飲み薬の錠剤を手のひらに持った画像

まずは、脱毛の仕組みと、発毛剤とはそもそもどういった製品なのかを、稲見医師に確認していきます。

脱毛症と発毛剤について

日本人の男性型脱毛症の発生率は30代で1割以上と言われ、年齢を重ねるとともにAGA発症率が増加することがわかっていて、AGAが身近な問題と言えます。

―稲見医師にお伺いします。なぜ薄毛や脱毛になってしまうのでしょうか?

AGAの原因としては、遺伝子が関与していると言われています。血縁者の中に薄毛や脱毛の人がいる場合、その方自身もAGAを発症するリスクを持っている可能性が高いです。

遺伝性のAGAならば20代後半から30代で発症することが多く、40代で明らかになります。生活習慣も関与していると考えられていて、喫煙や偏った食生活は頭髪に悪影響を及ぼします。

―AGAの仕組みについて教えてください。

AGAを引き起こす原因は、ジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれる男性ホルモンの一種です。

DHTが作用する仕組み

DHTの作用で髪の毛が太くなる前に抜けてしまい、細くて柔らかい毛が多くなってしまいます。ヘアサイクルが乱れることで、新しい毛が生えてくる量よりも抜ける量が多くなり、薄毛や脱毛につながるのです。

AGAは20歳代後半から発症することが多いため、生え際や頭頂部に不安を感じたらAGAの治療やケアを始めましょう。

AGAの治療薬とは何?

―発毛剤とはどういった製品なのでしょうか?

薬局やドラッグストアで市販されている発毛剤にはミノキシジルという有効成分が使われています。ミノキシジルには、血管拡張作用を用いて血流を増やしたり、毛乳頭細胞の分裂を促す効果があると言われています。

同じくクリニックで処方されるAGA治療薬には飲み薬タイプの内服薬があり、「フィナステリド」や「デュタステリド」といった成分が含まれています。

これらは、男性ホルモンがDHTに変わるのを食い止めることで、抜け毛を減らしてAGAの症状を改善します。

飲み薬と塗り薬の違いについて

インタビュー中の稲見総院長

―塗布する発毛剤と飲むAGA治療薬の違いについて教えて下さい

塗布するタイプの発毛剤は外用薬と呼ばれ、脱毛や薄毛の症状がある皮膚に液剤を塗ることで、発毛効果が期待できます。日本で市販されている外用薬のほとんどはミノキシジルという有効成分が含まれています。

ミノキシジルの外用薬には1%~5%と濃度の違いがありますが、市販品でも5%のミノキシジル外用薬が入手できるようになったため、現在では市販製品と処方薬の違いは少なくなりました。

飲み薬タイプは専門的には「内服薬」と言われ、代表的なAGA治療薬はフィナステリドやデュタステリドになります。これらはAGA診療ガイドラインで「行うことを強く勧める」とされています。

フィナステリドもデュタステリドも服用することで、男性ホルモンの「テストステロン」が5α還元酵素の働きで「DHT」に変わるのを食い止める効果があります。

―AGA内服薬はどこで手に入りますか?

AGA治療の内服薬は薬局やドラッグストアでは市販されていません。

服用の際には信頼できる医療機関、医師から処方してもらうのがベストです。万が一、副作用などが生じた場合も適切な診察や治療を受けることが可能です。

安全性にこだわるのであれば個人輸入薬に頼るのは止めるよう、医師として忠告いたします。

―AGA治療薬の費用はどの程度ですか?

クリニックのAGA治療薬は自費診療となり、内服薬で毎月4,800円~となっています。一見高額に思えるかもしれませんが、市販の発毛剤は1本1ヶ月分で6,000円前後です。発毛剤のコストと治療費を比較すると、決して割高な治療ではないでしょう。

内服薬に含まれる成分

日本でAGA内服薬の成分として承認されているのは、フィナステリドやデュタステリドの2つです。また、日本国内では医薬品「ミノキシジル錠」は薬事法上の承認を受けていませんが、AGA治療薬として処方しているクリニックもあります。

ただしその場合はあくまで、医師の判断のもと患者の了承を得て処方されています。

各成分の特徴と効果について

ここからは各成分の特徴について見ていきます。

フィナステリド

フィナステリドは、日本国内で「プロペシア錠」という飲み薬タイプのAGA治療薬の成分として使われています。

フィナステリドは「5α-還元酵素II型阻害薬」と記載され、男性ホルモンの「テストステロン」が5α還元酵素の働きで「DHT」に変わるのを食い止める効果があります。

DHTはヘアサイクルを短縮させ、髪の毛が太く成長する前に抜けさせてしまう作用がありますが、フィナステリドを用いることでテストステロンがDHTに変化するのを抑え、抜け毛を減らすことが期待できます。

デュタステリド

デュタステリドも飲み薬タイプのAGA処方薬ですが、もともとは前立腺肥大症の薬でした。

5α還元酵素をI型およびII型を両者ともに阻害する作用があり、DHTへの変換を抑制して脱毛の進行を遅らせます。

ミノキシジル

ミノキシジルはもともと血圧を下げる内服薬として開発された成分ですが、その副作用として全身の多毛化が見られたことから、塗布するタイプの外用薬としてAGA治療に応用されています。

毛細血管を拡張させる作用があるので、頭皮の血流を増やす効果があります。また、「サイトカイン」というタンパク質に働きかけて、髪のもとになる毛乳頭細胞の分裂を促す効果があると言われています。

各成分の服用量と副作用について

続いて、各成分の服用量と代表的な副作用を紹介します。服用していて副作用が現れたりトラブルが起きた際には、専門機関や医師に相談しましょう。

フィナステリド

フィナステリドは男性成人であれば1日1回経口で服用し、効果が確認できるまで通常6ヵ月の連日投与が必要とされています。

副作用の主な症状としては、性欲減退・勃起機能不全・射精障害・精液量減少・肝機能異常・グリコヘモグロビン増加・ネフローゼ症候群・眼圧上昇・血尿・昏睡・先天性白内障・脱毛症・胆汁うっ滞・蛋白尿・低蛋白血症などがあります。

中でも妊娠中の女性における催奇形性が確認されていることから、女性や子どもは絶対に服用してはいけません。

個人輸入の外用薬や、割れてコーティングが剥がれた内服薬などが女性に触れることがないように、注意して管理する必要があります。

デュタステリド

デュタステリドは男性成人であれば1日1回経口で服用します。

副作用の主な症状としては、食欲不振・全身倦怠感・皮膚や粘膜が黄色くなる肝機能障害や、黄疸が出ることがあります。

また、前立腺がん検診(PSA検査)を受ける予定がある人は、デュタステリドを服用することで検査結果に影響を及ぼす可能性があるため、検査前に医師に相談が必要です。

ミノキシジル

ミノキシジル内服薬は日本国内で承認されておらず、日本皮膚科学会の資料では推奨度Dで、「ミノキシジルの内服を行うべきではない」とされています。

しかし稲見医師によると「ミノキシジル内服薬の発毛効果は決して否定されるものではないと考えており、今後きちんとした治験が行われれば、ガイドラインで推奨される日が来るかもしれない」そうです。

なお、内服薬としてのミノキシジルの副作用には、胸痛・心拍数増加・動悸・息切れ・呼吸困難・うっ血・性心不全・むくみや体重増加などの、重大な心血管系障害といった症状が報告されています。

代表的な飲み薬の紹介

次に、現在処方されている代表的な飲み薬タイプの発毛剤について解説します。

プロペシア錠

プロペシア錠

プロペシア錠はフィナステリドを配合した内服薬で、日本ではMDS社から0.2mgと1mgの2種類が製造販売されています。

メーカーの臨床実験では下記のようなAGA症状が改善したという結果が出ています。

服用された方の98%で3年間AGAの進行が認めらませんでした

出典:プロペシア®錠 臨床成績<国内データ (3年)>|MSD Connect

24歳から50歳の男性型脱毛症患者414例を対象とし(中略)投与前と比べ48週で改善と判定されたのは、0.2mg投与群で54.2%、1mg投与群で58.3%、プラセボ群で5.9%であった。

出典:プロペシア錠 添付文書|MSD Connect

男性ホルモンが過剰に分泌されることで脱毛が起こっている男性を対象とした薬なので、その他の原因で起こっている脱毛症には効果が望めません。服用が適しているか、医師の判断を仰ぐ必要があります。

また、女性への有効性は認められていない点と、妊娠中の女性への悪影響が懸念されることから、女性は使用できません

プロペシア錠が示している主な副作用は性欲減退や肝機能障害ですが、臨床試験による発生率は0.5%と低いため、医師の処方により使用することで低リスクで使えるでしょう。

成分:フィナステリド
メーカー:MDS株式会社

ザガーロ

新ザガーロカプセル0.1mg

ザガーロはデュタステリドを配合したカプセルタイプの内服薬で、gsk社から 0.1mgと0.5mgの2種類が製造販売されています。

メーカーの臨床試験でも毛髪数の増加に加えて、髪の毛の硬さや太さが増加したという結果が出ています。

臨床試験において、発毛の評価指標として設定した毛髪数の増加、育毛の評価指標として設定した硬毛数及び毛髪の太さの増加等、男性型脱毛症に対する効果が確認されました。

出典:男性における男性型脱毛症治療薬「ザガーロ®カプセル0.1mg」、「ザガーロ®カプセル0.5mg」本日発売|gsk

男性における男性型脱毛症に処方される薬で、女性、子ども、肝機能障害がある人は使用できません

ザガーロの主な副作用は肝機能障害と黄疸とされ、前立腺癌のスクリーニング検査に影響を与えることから、検査時には医師への報告が推奨されています。

成分:デュタステリド
メーカー:グラクソ・スミスクライン(GSK)社

ミノキシジルタブレット

日本では内服薬としてのミノキシジルは承認されておらず、市販はされていません。

海外にはミノキシジルのジェネリック薬などが存在し、手軽に安価に個人輸入しているケースも散見されます。

しかし、安全性が確認されていなかったり、副作用やトラブルが起きた場合に適切な処置を受けられない可能性があるため、使用は避けましょう。

市販の発毛剤

第一類医薬品にカテゴライズされる発毛剤は、市販のものではリアップに代表されるような塗るタイプしかありません。

飲むタイプに限定すると、日本国内ではハツモールという第二類医薬品に分類される発毛剤が市販されています。AGA治療で用いられる発毛剤よりも効果は穏やかですが、フケが原因の脱毛症に作用します。

市販薬
  • 田村治照堂
  • ハツモール・内服錠 60錠

  • 税込み1,917円
  • フケが原因の薄毛に!飲み薬タイプの発毛促進剤

  • 市販されている医薬品の中で唯一飲み薬タイプの発毛促進剤です。生薬とビタミンをバランスよく配合することで、体の中から発毛を促進します。

ハツモール・内服錠は唯一の経口タイプの市販の発毛促進剤です。脱毛症に働きかける有効成分を配合した医薬品で、毛乳頭内部の血行を促進することで、栄養状態を改善して体の内側から毛根部を正常な状態に整えることで発毛を促進します。

特に粃糠性脱毛症と呼ばれる皮脂の分泌異常によるフケが原因の脱毛症に作用してくれます。

分類:第二類医薬品
成分:カンゾウ末、イノシトールヘキサニコチン酸エステル、セファランチン、アリメマジン酒石酸塩、パントテン酸カルシウム、チアミン塩化物塩酸塩、リボフラビン、ピリドキシン塩酸塩、アスコルビン酸、ニコチン酸アミド
内容量:60錠(1日6錠)

医師が推奨!発毛には飲み薬が効果的

インタビューに応じる稲見総院長

―髪の毛を生やしたいなら、内服薬を使うべきなのでしょうか?

発毛剤(=市販のミノキシジル外用薬)は手軽で効果を感じやすい治療法ですが、単剤での治療よりもやはりフィナステリドと併用することをおすすめします。

フィナステリドやデュタステリドは、AGA診療ガイドラインでも「行うことを強く勧める」とされていて、効果が期待できる治療法です。

―塗るよりも、「飲む」ことに抵抗があります。内服薬の副作用は、どうしても気になる人が多いようですが。

治療薬を使う際に重要な考え方としては「メリットとデメリットを天秤に乗せて、十分に検証する」ということです。

ノーリスクの治療はどこにもありません。かと言って、ハイリスク・ローリターンの治療は受けたくないでしょう。できればローリスクでハイリターンの治療を受けたいものです。

フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルなどの治療薬は、ローリスクでハイリターンだと言えます。

副作用には肝機能障害や性機能障害(ED、性欲減退、精子量減少など)、血圧低下、むくみ、不整脈などが生じる恐れはありますが、その頻度は低いと考えて良いでしょう。

フィナステリドの副作用に関して(中略)374名の(中略)比較試験において性機能に関する副作用はなく,プラセボから 1 mg/日に移行した患者で 1例ずつ出現した。
胃潰瘍,大腸ポリープに関しても因果関係は不明としている。重要な副作用として、頻度は明らかではないがまれに肝機能障害があらわれることがある。

出典:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版|日本皮膚科学会ガイドライン

これらの副作用が起こり得るリスクと比べると、内服薬を使うことで得られるAGA治療のリターンは高いと言えます。

飲み薬タイプの発毛剤は検討の価値あり

生え際を気にする男性

今回はAGAの専門家である稲見医師に内服薬としての発毛剤について聞きました。

塗るよりも飲むのは怖い…という印象がありましたが、稲見医師の話では専門機関やAGAクリニックから処方されることで副作用のリスクに備えて、発毛効果を期待できることがわかりました。

この記事で紹介した情報を参考に、自分に適しているのは外用薬か内服薬なのかを判断して、より目的にあった発毛剤を選んでください。

マーケター/ライター
matsumura
インテリア会社や駅ナカ商業施設のマーケティングを経験後、5年間シンガポールで現地メディアの編集に従事。日本へ帰国してからはフリーランスのマーケター&ライターとして活動しながら、事業会社での経験を活かしモノ系取材記事を中心に執筆中。趣味は旅行で、海外22カ国53都市を訪れ、国内も離島や僻地を中心に巡っています。

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