
【プロ監修】「作(ザク)」はどんなお酒?特徴とおすすめ9選を紹介
日本酒の銘柄には、知名度の高いものや入手しにくいレアなものなど、たくさんの種類がありますよね。今回は「幻のお酒」「アニメファンに注目された日本酒」として名高い「作(ザク)」について紹介します。
作とはどんな日本酒なのでしょうか?また、作の中にもさまざまな種類がありますが、どのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、若松屋酒店(東京・板橋)の三代目で、唎酒師、日本酒ライターとしても活躍する小林健太さんに監修していただき、作に関する情報やおすすめの銘柄をご紹介します。
目次
日本酒「作(ザク)」とはどんなお酒?

「作」は日本酒の中でも知名度の高いお酒ではありますが、名前の由来や風味が気になります。作に関する基本情報をみていきましょう。
ガンダムファンにも注目された、入手困難な日本酒
「サク」と読んでしまいそうですが正しくは「ザク」と読みます。日本を代表するアニメの一つである「機動戦士ガンダム」に出てくる「ザク」と同じ名前として、アニメファンから注目を浴びています。
作の蔵元である清水清三郎商店(三重・鈴鹿)が、日本酒の需要が減少する中で酒蔵の生き残りをかけ2000年に立ち上げたのが作ブランドです。
名前はガンダムを意識したわけではなく「お酒の価値はみんなで作るもの」との思いが由来なのだそうですが、名前でガンダムファンから注目を集めたことが知名度を上げるきっかけにもなりました。

小林さんのおすすめポイント
かつて日本酒といえば「灘の酒」が求められる時代がありました。当時は各蔵で製造できる量に制限があったため、灘に比較的に近い三重の蔵の多くは、製造した日本酒を灘の蔵に販売し、灘の酒として流通させていました。その後、各蔵での製造制限が解除されたことで、三重の酒はその独自性だけでなく流通先も失い、多くの蔵が廃業に追い込まれてしまったそうです。「作ブランド」の確立は、地元の酒造りの悲願の成果とも言えるかもしれません。
伊勢志摩サミットでの乾杯酒として採用されブレイク
作は販売から徐々に人気を集め、さらに2016年の「G7伊勢志摩サミット」で乾杯酒として採用されたことから、国内はもちろん海外でも一気にその名を知られるようになりました。
清水清三郎商店では需要拡大に応えるため生産量を拡大、一年の中で酒造りをする期間も長くなり、ほぼ通年で酒造りを行う四季醸造体制で製造されるようになりました。
数々の日本酒審査会で賞を受賞
国内外からの人気を集める作は、アメリカで開催される「全米日本酒歓評会」や、出品数が世界最多の「SAKE COMPETITION」など国際的な審査会でも多くの賞を受賞しました。特に2017年のSAKE COMPETITIONでは、純米酒部門で「作 穂乃智(ほのとも)」「作 玄乃智(げんのとも)」がそれぞれ1位、2位を受賞したことから更に注目が高まります。
風味の調和と透明感にこだわりぬいた作は、種類の多さも大きな特徴です。フルーティな味わいを楽しめる軽めのものから、どっしりとした旨みを楽しめるものまで自分好みのお酒を選べるのも嬉しいポイントです。

小林さんのおすすめポイント
作は「香りの主張も、味わいの主張もしっかりあって、キレ良く、後味に透明感のある酒」を目指して造られました。その上で、華やかな香りと旨みを味わうタイプ「雅乃智(みやびのとも)」「雅乃智中取り(みやびのともなかどり)」、お米の旨みを味わいうタイプ「穂乃智(ほのとも)、奏乃智(かなでのとも)」、すっきりとしたバランスの良いタイプ「恵乃智(めぐみのとも)」といった種類があり、タイプごとにお酒を選ぶことができます。
「清水清三郎商店」のこだわり
シンプルな旨味を極めた酒を目指し多くの酒蔵を巡りながら改善を重ねた作は、小さなタンクで生産することで、酒造りの工程や温度調整においてきめ細やかな管理を行っています。
大きなタンクで一度に仕込むよりも手間がかかりますが、当たり外れのない綺麗な味わいを目指しています。こだわりの一つに「透明感」とあるように、すっきりとした飲みやすいお酒が多い点も特徴的です。

小林さんのおすすめポイント
作の定番酒シリーズは特定の酒米を使うのではなく、その時その時で、造りのコンセプトに合う最も良い米が使われます。そんな蔵でも年に何度か特定の酒米を使った純米吟醸酒が発売になります。「愛山(あいやま)」「雄町(おまち)」「山田錦(やまだにしき)」「神の穂(かみのほ)」など、酒米とビンテージ年が書かれたシリーズでは、「酒米の個性」と「作の個性」が醸し出す、特別な味わいを楽しむことができます。
監修者 小林健太さんが選ぶ、おすすめの「作」2商品
作にはどんな種類があるのでしょうか?まずは小林さんおすすめの商品をご紹介します。

小林さんのおすすめポイント
作らしい華やかな上立ち香と、フレッシュな味わいの火入れの新酒。火入れのお酒ですが、まるで生酒のようなみずみずしい味わいを楽しむことができます。ラベルデザインは毎年一新され、見た目にも楽しめる純米大吟醸酒です。

小林さんのおすすめポイント
神の穂は三重県のオリジナル米で、2010年に品種登録された新しいお米です。このお米を使った日本酒はまだ少なく、三重の酒「作」で三重の米「神の穂」をどう表現するのか、それはこれからの三重の酒の方向性とも言えるかもしれません。上立ち香は抑え目ながら、口に含むと華やかな香りが駆け抜けます。やわらかで滑らかな甘味から、爽やかな旨みへ。最後はやや複雑さのある余韻を楽しめます。
編集部が選んだ「作」おすすめ7商品も紹介
ここからはMoovoo編集部おすすめの人気商品を、味わいとともに紹介します。
作を初めて飲むならおすすめしたいのがこちらです。ほのかな甘みと喉を通る切れの良さから、食中酒としてはもちろん、お酒だけでいただくのにもピッタリな日本酒です。辛口寄りですっきりしており、初心者でも比較的飲みやすいお酒です。
フランスで開催される日本酒コンクール「KURA MASTER 」の2017年純米部門でプラチナ賞を受賞しました。
透明感を感じるクリアな味わいのお酒です。後味の酸味が少し強めですが、この酸味があるからこそもっと飲みたいと思わせるお酒でもあります。
香りは控え目で、日本酒を普段飲まない方でも飲みやすい一本だといえます。キリッと冷やしていただくのがおすすめです。
2018年度の「SAKE COMPETITION」で金賞を受賞したお酒です。完熟したフルーツを思わせるような豊かな甘味が特徴的なお酒で、口に入れた瞬間に芳醇な旨みを感じることができるでしょう。
米本来の甘みを感じる、しっかりと濃い味わいなので、冷やはもちろん熱燗でも楽しめる日本酒です。
- 清水清三郎商店
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作 雅乃智 中取り 純米大吟醸 720ml
- 税込み4,160円(楽天市場)
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クリアな味わいとフルーティな柔らかさが同居する一本
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楽天スーパーSALE開催中!楽天市場で見る
「透明感と調和」という清水清三郎商店が目指すバランスを実現した日本酒です。いつまでも飽きないすっきりした味わいを楽しむことができます。
甘み、旨み、キレ、酸味のバランスが良いお酒で、全体が丸くやわらかにまとまり、どちらかというとフルーティーさが目立つお酒なので甘口寄りと言えます。
幻の日本酒 “プレミアム” な「作」
続いては、作の中でもプレミアムな日本酒を見ていきましょう。数量限定品なので、機会を逃したら入手困難なお酒です。見つけたときには即買いがおすすめです。
精米歩合40%まで磨かれたお米で作る、柔らかさとクリアな風味を兼ね備えたお酒です。角のない柔らかな甘味を感じるので、甘めが好きな方向けの日本酒ともいえます。
低温熟成によってゆっくりと醸された日本酒で、お米本来の甘さをしっかり堪能できます。
作の中でも高額な「筰 クラウン」。清水清三郎商店の内山杜氏が精魂込めて作った秘蔵の日本酒で、華やかな香りと奥深さを感じられる複雑な味わいが特徴です。
選び抜かれた材料と細部まで手を抜かない繊細な仕込みで、杜氏が持てる技術のすべてを注いだ数量限定の日本酒です。ぜひ一度はいただいてみたい一本です。
作の新たな挑戦「IMPRESSION」シリーズ
- 清水清三郎商店
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作 インプレッションG 純米酒 720ml
- 税込み1,850円(Amazon)
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生酒のようなフレッシュさと微発泡が楽しめる
- Amazonで見る
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楽天スーパーSALE開催中!楽天市場で見る
- Yahoo!で見る(750ml)
酒質の変化を止めて製品の安定性を確保するため、清水清三郎商店のお酒は全て加熱処理をする「火入れ」ですが、「火入れしない生酒のようなフレッシュな味わいを、火入れのお酒で造れないだろうか」と試行錯誤して誕生したのが新しい作「インプレッション」シリーズです。
シリーズには「G」の他にも「M、H、N」の4種類があります。これは作のレギュラー商品の中でも人気の「玄乃智:げんのとも」「恵乃智:めぐみのとも」「穂乃智:ほのとも」「(雅乃智:みやびのとも)中取り:なかどり」の頭文字をとったもの。
それぞれ違う特徴を残しながら、よりフレッシュな味わいを楽しむことができる軽やかさが特徴的なすっきりといただける日本酒です。
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日本酒「作」はどこで入手可能?
入手困難といわれる「作」は、実際に手に入れるならどこで購入するべきなのでしょうか。
ここまで紹介してきたように入手のハードルが低いのはウェブショップですが、売り切れている場合もあり、特に季節限定品などは時期が外れてしまえばあっという間に売り切れ…ということもあります。
ウェブショップを利用しながら、特約店を確認し、身近なお店や酒屋さんをこまめにのぞていみるのもおすすめです。
さまざまな味わいを楽しめる「作」

日本酒「作」について紹介しました。作はさまざまな種類があり、自分好みのお酒を探すことができるのも嬉しいポイントです。昔は現地だけで消費されてしまっていたようなお酒も、現在は手軽にインターネットで購入できるようになりました。
興味をひかれた種類があれば、ぜひ一度お試しください。