ボジョレーヌーボー解禁! 2019年のおすすめは?
ワインファンが心待ちにしているボジョレーヌーボーが2019年も解禁日の11月21日を迎えました。2017年、18年はおいしい「当たり年」とされたボジョレーヌーボー。今年の出来栄えはどうなんでしょうか。国内販売でトップシェアのサントリーの担当者にブドウの生産地であるフランスから届いた最新情報や商品の選び方、楽しみ方についてお聞きしました。
目次
ボジョレーヌーボーとは?
ボジョレーヌーボーはフランス東部にあるブルゴーニュ地方の一部、ボジョレーでその年に収穫されたブドウでつくるワインの新酒のことです。ヌーボーは「新しい」という意味で、フランス語では「Beaujolaias nouveau」と表記します。ボジョレーは標高が高くて日当たりが良く、ブドウの栽培に適した土地柄です。ここで採られた「ガメ種」というブドウからボジョレーヌーボーはつくられます。「ブドウの王様」として国内で人気の高い巨峰よりは粒が小ぶりで、黒みがかっているのが特徴です。ガメ種のブドウでワインをつくると、イチゴやラズベリーのようなベリー系のフルーツの香りとまろやかな味を満喫でき、幅広い人気につながっています。
ボジョレーヌーボーは新鮮なブドウをすぐに旬のワインに仕上げるため、独特の醸造方法でつくられます。ワインづくりではふつう、ぶどうを発酵させる前に実をつぶしますが、ボジョレーヌーボーでは手詰みで収穫したブドウを房のままタンクに入れて発酵させます。すると自重で皮が破れ、流れ出た果汁や果肉が自然に発酵し、タンク内に炭酸ガスが充満します。そのガスとぶどうのうまみ成分がさらに混じり合うことでおいしいワインに仕上がります。じっくり時間をかけて熟成させることで深い味わいに仕上げる醸造方法もありますが、フレッシュさが売りのボジョレーヌーボーの場合、熟成工程を経ずに瓶詰めして出荷します。
なぜ解禁日があるの?
かつてはつくりたてのボジョレーヌーボーをいち早く市場に出そうと出荷を競い合った時代もあったそうです。しかし、質の悪いワインも出回ったため、ボジョレーヌーボーの評判を落としかねない事態を心配したフランス政府が1967年、毎年11月の第3木曜日を解禁日にする決まりをつくりました。フランス国内だけでなく、アメリカやイギリス、日本など輸出先の国にも解禁の決まりを守るよう求めています。今年の解禁日は11月21日です。
ただ、解禁日が決められると、天候不順が続いたり寒すぎたりしてぶどうの出来栄えが芳しくなくても、農家や生産者の都合で出荷や販売のスケジュールを変えることができなくなります。9月初めにはブドウを収穫して10月にかけて醸造し、10月末に出荷を始めて解禁日に間に合わせなくてはいけません。このため、甘みや味の深みなどの出来栄えは毎年異なり、年ごとに違いが生じるのもボジョレーヌーボーの個性の一つになっています。近年では2003年のボジョレーヌーボーが「100年に一度の出来」と高く評価され、18年も「珠玉のビンテージ」と言われる当たり年でした。一方、「史上最悪の不作」と言われる12年のようなシーズンもありました。
2019年の出来栄えは?サントリーの専門家にきく
では、間もなく解禁を迎える今年のボジョレーヌーボーの出来はどうなのでしょうか。サントリーのワイン部門、サントリーワインインターナショナルの輸入ブランド部でボジョレーヌーボーを担当している張安琪さんに聞きました。
張さんによると、サントリーはジョルジュデュブッフ社という地元ボジョレーでも大手の業者と取引をしています。今年のボジョレー地区は春に霜が降りたうえ、夏も熱波やひょうに見舞われ寒暖差が非常に大きかったそうです。厳しい天候の影響でボジョレー全体でガメ種のブドウの収穫量は例年より2割も減り、収穫できても出来不出来の差がはっきりと出てしまう厳しい状況でした。ただ、サントリーはジョルジュデュブッフ社を通じて例年通りの良質のブドウを十分確保できたそうです。天候に恵まれた17~18年のブドウと比べると皮が薄く、色素もやや淡いとのこと。しかし、粒の数が少ない分、1粒当たりの糖度は例年より高く、甘さが引き立つワインに仕上がったそうです。張さんは「今年も飲みやすくておいしいボジョレーヌーボーをお届けできます。ぜひ楽しんで下さい」と胸を張って答えてくれました。
ボジョレーの帝王!
ボジョレーヌーボーは地元のフランスだけではなく、アメリカなどたくさんの国で愛飲されています。サントリーによると、1950年代にパリのビストロ(カフェや居酒屋のような小料理店)で広がるようになり、70年代にイギリスに、そして80年代にアメリカや日本、オーストラリアにも伝わって各地でにぎわうようになりました。日本では欧米よりも早く解禁日の午前零時を迎えるため、いち早くボジョレーヌーボーを楽しめることもブームに火をつけました。
ジョルジュデュブッフ社の創業者、ジョルジュデュブッフ氏は1933年生まれ。64年に会社を設立し、いまも一線で活躍を続けています。世界中にボジョレーヌーボーを楽しんで味わう文化を伝えた功績が評価され、地元では「ボジョレーの帝王」と称される存在になっているそうです。ジョルジュデュブッフ社のワインは現在では約120カ国に輸出されています。
ただ、日本での国内出荷量は2004年をピークに、ずっと減り続けています。10~12年には一時、盛り返しましたが13年に再び減るようになり、16年には04年のおよそ半分の水準にまで落ち込んでしまいました。減少傾向に歯止めはかからず、サントリーは今年も輸入量を18年より3%減らしたそうです。張さんは「欧州でブームになっている憧れでボジョレーヌーボー人気は盛り上がりましたが、ワイン以外にもお酒を楽しむ選択肢が増え、『初もの』をありがたがる雰囲気が薄らいできてしまったようです」と分析しています。
今年の売れ筋は?
再びブームに火をつけることはできないのでしょうか。サントリーは17年から地元・フランスで人気になっているロゼタイプのボジョレーヌーボーの販売を始めました。そして今年は新たにスパークリングワインも販売するなど新たな試みを続けています。主な商品を見てみましょう。
サントリーが2019年の「ザ・ヌーボー」と推す最も販売量の多い一品。テーブルを彩るラベルはバラとダリア、ひげなしをデザイン。豚肉料理やチーズとの相性がバツグン
赤、白、青の花のデザインはフランス国旗の色がモチーフ。丁寧に育てられた良質のブドウが醸し出す香りと味わい深さが売り
2019年の最高峰なのに3,000円を切るお手ごろ感!「ボジョレーの帝王」の匠の技を凝縮した深みある味わいを堪能できます
女子会で人気必至のロゼタイプ。辛口だけどフルーティー。見た目も華やかなボトルで、2本目を買うならおすすめの一品
ジョルジュデュブッフ社が初めて挑戦するボジョレーヌーボーのスパークリング。アルコール度数は7.5%と軽めで、お酒やワインの初心者でも安心して楽しめるのも売り
他のメーカーのボジョレーヌーボーも
サントリーのほかにもアサヒビール、キリンビール系列のメルシャン、流通大手イオン系列のコルトンヴェール社などもボジョレーヌーボーの国内販売に力を入れています。店頭では1万円を超す高級ワインもたくさん見かけますが、ボジョレーヌーボーは主力商品でも2,000円~3,000円ほど。お手軽価格でお財布にやさしいのもうれしいですね。最寄りの酒店やイオン、イトーヨーカドーなどの大手スーパー、セブンイレブンなどのコンビニエンスストアでも手軽に予約や購入ができます。イオンではコルトンヴェール社が仕入れたオリジナル商品が手に入りますし、セブンイレブンはサントリーと提携してジョルジュデュブッフ社の独自商品を販売しています。アマゾンなどのネット販売でも予約ができます。
おすすめの飲み方は?
赤ワインは常温で飲むのが一般的ですが、フレッシュな軽やかさが売りのボジョレーヌーボーは冷蔵庫で冷やしてから楽しむのがサントリーの張さんのおすすめです。寝かせっぱなしにせず、なるべく早く飲んだほうがいいともアドバイスしています。
ボジョレーヌーボーに料理を合わせるなら、トマトソースを使ったパスタやローストビーフが最適とのこと。おつまみにはチーズが合うそうです。甘みのある豚肉の料理とも相性が良く、とんかつやトンテキといった日本料理もぴったりだそうです。年末のクリスマスに家族や友人らとパーティーを楽しむためのお酒やおみやげなどにもおすすめです。
とれたてを祝う「ボジョパ」も
張さんによると、日本のボジョレーヌーボーの愛好者は40代から60代が中心。盛り上がりが若者たちに広がっているとは言えません。若い世代にもっと親しんでもらおうと、サントリーはボジョレーヌーボーを楽しむパーティー「ボジョパ」をおすすめするプロモーションを2016年に始めました。10月末のハロウィン、12月下旬のクリスマスのほぼ中間にやってくるボジョレーヌーボーの解禁日も友人や家族と一緒に盛り上がろうという試みです。今年のボジョレーヌーボーは11月1日に第一便が空輸で日本に届き、21日の解禁日に店舗に並ぶのを待っています。張さんは「年に一度しかない解禁の瞬間をぜひ楽しんでください」と話しています。
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