1億画素のすごいスマホ 中国シャオミがやってきた!

ぼー太郎
公開: 2019-12-19

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 世界のスマホ市場で第4位という中国シャオミ(小米科技)が日本市場に初めて進出しました。第一弾となる製品は、業界で初めて1億800万画素という高いスペックのカメラを搭載したスマートフォン。レンズを五つも搭載し、超広角や望遠といった一眼レフカメラなみの機能で写真や動画の撮影を楽しめます。ハイスペックなのに5万円台という破格の価格設定がスマホ業界ではさっそく話題になっています。アマゾンでしか販売しない手法も独特です。どんな狙いで開発し、競争が厳しい日本に乗り込んできたのでしょうか。シャオミの日本担当の幹部にも聞いてみました。


日本進出の責任者に聞く

 蔵智淵さん(34)に話を聞きました。シャオミの日本進出をリードした責任者の1人です。肩書はシャオミの日本事業部の部長代理。シャオミのモバイル事業部で本国の中国市場を担当する部署のナンバー2(副総経理)を務め、今回、日本への進出プロジェクトを任されたそうです。
 34歳という若さで要職を重ねてきたことに驚きましたが、蔵さんに伝えると、「シャオミ社員の平均年齢は27~28歳で、私は決して若い方ではありません。何せ、まだ創業からやっと9年という会社ですから」と笑い飛ばされてしまいました。

「1億画素」の実力は?

 シャオミが日本で発売したスマホは「Mi Note 10」(5万2800円、税別)。メモリーの容量は6ギガあります。上位機種の「Mi Note 10 Pro」(6万4800円、同、2019年12月23日発売予定)はメモリーが8ギガです。

 「Mi Note 10」の裏側を見ると、レンズが5つも並んでいることが目を引きます。このうち、センターにあるレンズが1億800万画素のメーンレンズで、撮影した画像を全長4メートルある屋外広告のサイズまで引き延ばしてプリントしても、画質が損なわれているようには見えないそうです。

シャオミが発売した1億800万画素のレンズ(上から3番目)を備えた「Mi Note 10」

 ほかにも、ポートレート写真向きの1200万画素の望遠レンズや、50倍ズームにも対応できる500万画素の望遠レンズ、視野角が117度ある2000万画素の超広角レンズが備わっています。レンズがとらえた光を電気信号に変えるイメージセンサーは韓国のサムスン製。手ぶれ補正の機能もデジタルカメラの最先端の技術をとりいれています。「まつげまでくっきり」「すべてのショットを壮大に」とシャオミは宣伝しています。これだけのカメラがいつも手元にあれば、大切な恋人や友人との「自撮り」はもちろん、息をのむ絶景や夜景、ポートレートや勢いあるスポーツの一コマを一眼レフやテレビクルーのカメラ並みの画質で収めることだって夢でないかもしれません。費用対効果の面で革新的なスマホが登場したと言えそうです。

 1億800万画素と聞いても、なかなかピンとこないかもしれません。どんな映像がとれるのでしょうか。シャオミが公式ツイッターを通じて解説していますのでご覧ください。

解像度は「4K」の12倍

 「1億800万画素」は家電量販店の店頭に並んでいる最先端の「4K」のデジタルテレビのおよそ12倍の解像度です。

 現在、日本で使われているインターネット(4G)では、1億画素で撮影された画像は容量が大きすぎて送受信に時間がかかって煩わしくなるかもしれません。しかし、シャオミの蔵さんは「決してオーバースペックではありません」と胸を張っています。日本でも東京五輪・パラリンピックが開かれる来年、次世代の5Gの通信が始まり、速度や容量は現行の4Gより100倍速くなったり大きくなったりします。「1億画素」のスマホは、こうした次世代のニーズを先取りしていると言えそうです。

オススメ①
  • シャオミ
  • Mi Note 10

  • 税込み58,080円
  • 世界初の1億800万画素のカメラ搭載、日本に初進出

  • スマホ世界第4位の中国シャオミが日本市場に初めて進出。業界初の1億画素を5万円台で実現。望遠や広角などカメラ機能は多彩。アマゾンだけでしか買えません。

 液晶は6.47インチ(約16センチ)の有機EL。高精細の画像をそのままきれいに手元でも見ることができるつくりになっていて、左右両側は柔らかくカーブしています。指紋による個人認証も液晶画面できることも特徴です。バッテリーも長時間利用できたり約1時間でフル充電ができたりと高性能ですが、撮影した画像のデータ量が大きい分、メモリーの残りの容量は気になりますね。メモリーの容量が2ギガ大きい「Mi Note 10 Pro」も魅力的です。

 シャオミは公式ツイッターで、これまで説明したような「Mi Note 10」の性能を説明しているので見てみましょう(ただし、超広角レンズの画素数を1億800万画素と表示していますが、正しくは2000万画素なのでご注意下さい。シャオミはツイッター上で「訂正」を告知しています)。

オススメ②
  • シャオミ
  • Mi Note 10 Pro

  • 税込み71,280円
  • 自分史上、最上の一コマを

  • メモリーの容量を8ギガにするなど、カメラの性能をより高めたプロ仕様のスマホ。望遠や広角、ズームなど1億画素で遊び尽くせるスマホ

中国のスティーブ・ジョブズ

シャオミ創業者の雷軍CEO(本人のツイッターより)

 蔵さんによると、シャオミは北京市に本社がある総合家電メーカーで、英語では「Xiaomi」、中国語では「小米科技」と表記します。会社設立は2010年で、まだ10年経っていません。中国経済の急成長にともなって主にスマホ事業で業績を伸ばし、18年度の売上高は約2.9兆円。日本企業ではNECや三菱重工業と同じくらいの規模まで大きくなりました。携帯電話の世界シェアではサムスン(韓国)、アップル(米国)、ファーウェイ(中国)に次ぐ世界第4位です。スマホは主力商品ですが、ほかにもデジタルテレビやノートブックパソコン、白物家電など、ひと昔前の日本の総合家電メーカーのように多種多様なものづくりを手がけています。

 創業者で現CEO(最高経営責任者)の雷軍氏は現在、50歳(写真は本人のツイッターより引用)。米アップルのビジネスモデルを研究してシャオミを大きくしてきたことでも有名で、それで成功を収めたことから中国のメディアから「中国のスティーブ・ジョブズ(アップルの創業者)」とも評される話題の人になっています。

これまでも日本で買えた?

 実はこれまでも、シャオミのスマホはアマゾンや楽天市場などのネット通販のほか、海外発送に対応している中国などのサイトを通じて日本でも買うことはできました。日本国内でも通話ができるうえ、国際小包の配送料を考慮してもアップルやサムスン、日本のメーカーのスマホよりも割安感が強いものでした。「Mi Note 10」のひと世代前のスマホ「Mi 9」シリーズなどのスマホは日本でもかなりの量が流通し、じわりとシャオミファンを増やしてきました。

 しかし、正規の販売ルートではない個人輸入や並行輸入品だったため、価格設定が不透明だったり修理や初期不良の場合の対応が不十分だったりするリスクがありました。今回、シャオミが正式に日本に進出したことで、今後は充実したアフターサービスも期待でき、安心して購入することができるようになりました。

中国ブランドが台風の目に?

 シャオミは中国市場でまず足場を固め、海外進出を始めたのは16年のこと。まだ3年あまり前のことです。高性能なのに低価格で売る戦略がどの市場でも成功し、中国に次いで人口が多いインドや東南アジア、欧州などでシェアを広げました。すでに90を超える国や地域でシャオミのスマホが使われています。

 「1億画素」と聞いて、てっきりシャオミの最高級かつ最先端のスマホだと勘違いしてしまいましたが、蔵さんは「実は違うんです」と解説してくれました。

 シャオミの「最先端」は「Mi Mix Alpha」というスマホで、有機ELのディスプレーが表面だけでなく、ぐるりと背面まで続いているのが特徴です。メモリーの容量も12ギガあり、主に中国市場で販売しています。見るからに高級品と分かりますが、価格も日本円でおよそ30万円と高額です。

 蔵さんは「日本進出を検討する際、高くないという価格設定が大切だと考えました」と言います。品質の高い製品をお手ごろ価格でというブランドイメージを大切にしたわけですね。蔵さんは、「『Mi Note 10』はカメラの機能では世界最先端です。日本のユーザーのスマホの使い方を研究し、何よりカメラの役割が大事だと考えました」と振り返ってくれました。

 シャオミは、アップルやサムスンと世界市場でシェアを競うために、これまでもスマホに搭載するカメラの開発に力を入れてきました。世界各地に9カ所のカメラ専門の研究所を構え、そのうちの1カ所は東京にあるそうです。「実は『Mi Note 10』の5眼レンズは日本人が研究開発から参画した初めての成果です」と教えてくれました。日本市場はスマホの競争が厳しく、これまでは進出に慎重だったそうですが、インドなどの大市場でも成功し、日本のユーザーからも評価される「1億画素」「5眼レンズ」の実用化にこぎ着け、ようやく自信を持って乗り込めるようになったわけですね。

 アップルのiPhoneがシェアを落とす一方、ファーウェイやシャオミ、世界シェア第5位のOPPO(本社・中国広東省)といった中国勢が躍進しているのは世界的な傾向です。OPPOも19年10月に日本でスマホの販売を始めました。サムスンやアップルのスマホは高機能化が進むたびに販売価格も高くなりましたが、シャオミ、ファーウェイ、OPPOといった中国ブランドのスマホは割安感やお手ごろ感が強みです。割安感を維持できれば、日本でも台風の目としてユーザーの心をつかみ、シェアを伸ばしていくかもしれません。

低価格の決め手は「5%」ルール

 なぜシャオミは1億画素という高性能のスマホを5万円台という低価格で販売できるのでしょうか。

 シャオミの社是は「イノベーションをすべての人に」。そのために、機能が良くなっても安易に値上げはせず、あらゆる製品でハードウェア(端末)から得られる利益を「5%以下」におさえる目標を掲げています。技術開発に力を入れて最先端のものづくりを目指す一方で、その成果を多くの人に届けるためには高価であってはならないというのが雷軍CEOの考えです。薄利多売でシェアを稼ぎ、アプリなどを通じたサービスを充実させて収益源としていく戦略を描いています。

 コスト削減を徹底するため、販売手法も独特です。中国でも小売店などにマージンを支払わなくてすむネット販売が中心で、日本でもアマゾン・ジャパンと提携して販売はアマゾンの通販に一本化していく考えです。このため、「Mi Note 10」はビックカメラなどの家電量販店で購入することはできません。

「炊飯器」や「スーツケース」も

日本人が開発した炊飯器(19年12月中に販売開始)

シャオミが日本で販売する炊飯器

 シャオミは19年12月に開いた記者発表会で、スマホ以外にも4つの製品を紹介しました。外出先で急速充電が可能なバッテリーやスマートウオッチ、炊飯器、スーツケース(キャリーケース)のを順次、年内に発売していく考えです。なかでも記者を驚かせたのは、炊飯器やスーツケースが含まれていたことでした。

 日本ではスマホメーカーとしてのイメージが強いシャオミですが、中国ではデジタルテレビやノートブックパソコン、白物家電なども手がける総合家電メーカーです。ほかにも、タブレットや体重計(体組成計)、電動自転車などライフスタイルにつながる製品を手がけています。どの製品にも「5%ルール」を適用し、ライバルメーカーの同クラスの製品より価格が低く抑えられているのが特徴です。

 炊飯器は、高度な加熱技術や内釜のすみずみまで均一に熱を伝える技術、焦げ付きを防ぐ技術はかなり難しく、これまで日本人が満足できる水準までおいしく炊ける製品は日本のメーカーの独壇場でした。しかしシャオミは三洋電機出身の日本人技術者を招いて開発に挑戦し、日本のメーカーに対抗できる炊飯器を完成させました。満を持して日本市場に挑戦するシャオミの蔵さんも「日本で他社と競争できる水準に仕上げた自信作です」と話しています。

 驚きの価格は9,999円(税別)。日立製作所やパナソニックなど日本の大手メーカーの主力製品と比べると、かなりの格安です。価格破壊の起爆剤になりそうですが、中国人観光客が日本の家電量販店で炊飯器を「爆買い」していく姿はもう、見られなくなっていくのかもしれません。

ライバルは「サムソナイト」「リモワ」

オススメ③
  • シャオミ
  • メタルキャリーオンスーツケース 20インチ

  • 税込み1万9,690円
  • 超軽量ジュラルミンケースが破格値で!

  • 8輪付きで360度どの方向にも移動が可能。機内持ち込みもでき、頑強なのに超軽量。ライバルは「サムソナイト」や「リモワ」などの人気ブランド

オススメ④
  • シャオミ
  • スーツケース クラシック 20インチ

  • 税込み8,789円
  • 旅のお供は軽量ケースで シャオミ、日本初上陸

  • 機内持ち込みが可能なサイズ。一般の20インチのスーツケースよりも容量が5 %ほど大きく、よりたくさんの荷物を持ち運べる

 スーツケース(キャリーケース)は世界的に人気の高いSamsonite(サムソナイト)やRimowa(リモワ)、Tumi(トゥミ)といったトップブランドを明確に意識した製品になっています。とにかく軽いことと丈夫なことが特徴。トップブランドを象徴する製品と同じ「アルミニウムマグネシウム合金」を素材に使っているのが理由です。高さ55センチ、幅20センチで、容量は31リットル、重さは4.2キロ。女性でも使いやすいサイズで、価格は1万7,900円。この価格も話題になりそうですが、発売開始直後から注文が殺到し、品薄が続いています。

スマートウオッチのコスパも話題に

オススメ⑤
  • シャオミ
  • Xiaomi Mi Smart Band 4

  • 税込み6,929円
  • 欲しい機能を詰め込んだ理想の「格安」スマートウオッチ

  • シャオミが初めて日本で売り出すスマートウオッチ。万歩計や睡眠チェックなどの健康管理だけでなく音楽再生などの機能も。画面は有機EL。それでも4,000円を切る安さで品薄が続く

ほかの製品は「まだ未定」

 シャオミの製品は「安かろう悪かろう」ではなく、高品質でコスパが高いといえるのか。1億画素のスマホ「Mi Note 10」と炊飯器が日本の消費者から支持を得られるかどうかがシャオミにとってブランドイメージの試金石になりそうです。背面まで有機ELのディスプレーが広がっている最高級スマホ「Mi MIX Alpha」やノートブックパソコン、体組成計、電動自転車など、ほかの製品をいつ、どんなタイミングで日本に展開していくのかも気になるところですが、シャオミの蔵さんは「現段階では何も決まっていることはありません」としか答えてくれませんでした。ただ、今回の「Mi Note 10」や炊飯器について、「あくまで第一弾」であることも繰り返し強調していました。次世代の「IoT」にかかわる魅力的な中国発の製品やサービスを次々と手にできる日を期待していたいと思います。


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