ワイヤレス充電の「仕組み」「デメリット」をメーカーに取材、バッテリーの持ちに影響?

Kodai Watanuki
公開: 2019-04-25

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スマホやタブレットなどの充電方法として、ワイヤレス充電が主流になりつつあります。スマホやタブレットを置くだけで充電できる手軽さと、コネクタ部分の劣化や破損などを気にせず繰り返し使えるのもメリットです。

ただ、ワイヤレス充電は「充電速度が遅い」「バッテリーの持ちが悪くなるのでは」といった声が聞かれます。

そもそも、ワイヤレス充電の仕組みとは、どういったものでしょうか。便利な半面、デメリットもあるのでしょうか。気になるところです。

そこで、Qi認証のワイヤレス充電器を取り扱っている株式会社オウルテックの企画検証部 川本さんに取材を行い、ワイヤレス充電の仕組みやデメリットの有無について解説します。

※この記事の取材は2019年に行いました。

▼iPhoneで使えるワイヤレス充電器の使い勝手について検証した記事がこちら


ワイヤレス充電の仕組みについて

ワイヤレス充電の仕組みをスマホの場合で簡単に説明すると、充電器に内蔵された「送電側コイル」が、スマホに内蔵された「受電側コイル」に電力を送ることで充電を可能にしています。

また、コイルに電力を送る仕組みとして、「電磁誘導タイプ」と「磁界共振タイプ」の2種類の送電方法が存在します。2つのタイプの仕組みを川本さんに聞いてみました。

取材の様子

電磁誘導タイプと磁界共振タイプ

電磁誘導タイプとは、
コイル同士の磁束で電力を伝える方法で、ワイヤレス充電器の「送電側コイル」とスマホの「受電側コイル」を近づけることで充電をすることができます。

磁界共振タイプは、
コイル同士の振動によって電力を伝える方法で、触れていなくても充電器の周囲に置くだけで充電ができます。

川本さんは、「現在出回っているワイヤレス充電器はほぼ全て電磁誘導タイプで、磁界共振タイプは外部に影響を与える可能性や、充電効率の側面からまだ出てきていない」と話していました。

展示会などでは磁界共振で電力を送っている製品も紹介されているようなので、今後、技術が進むに連れて磁界共振タイプのワイヤレス充電器も開発される可能性があります。

ワイヤレス充電仕組みの図

現在ワイヤレス充電で使われている電磁誘導タイプはこのような図で説明することができます。

(図提供:株式会社オウルテック)

ワイヤレス充電のデメリットは本当にあるのか

台座に置くだけで充電ができる便利なワイヤレス充電器ですが、調べてみると様々なデメリットが挙げられています。
「バッテリーが悪くなるのか」、「充電速度は遅いのか」、「身体に影響はないのか」など。

川本さんに取材した内容から、それらのデメリットについての正しい説明をまとめてみました。

位置がずれると充電できない?

先ほど説明した通り、ワイヤレス充電器の仕組みとしてコイルの位置を合わせることで電力を送ることができています。
そのため、コイルの位置が合わなければ効率的に充電することができません。

オウルテックのワイヤレス充電器充電されている

この位置ではしっかりと充電されていますが、
(緑色のランプが充電できている状態)

オウルテックのワイヤレス充電器充電されていない

この位置では充電されていないことがわかります。
(青色のランプが充電準備中)

iPhone側のコイルは基本的にはiPhoneの中心に近い部分にあると言われています。
ワイヤレス充電器によっては、充電器側のコイルの数が1つではなく2つや3つ搭載されているものもありますので、より広い範囲で充電ができるよう設計されています。


こちらのオウルテックのワイヤレス充電器に関してはコイルの数が上部と下部に1つずつあり、ワイヤレス充電器をスタンドさせた状態であればiPhoneを寝かせても起こしてもどちらでもしっかりと充電ができるため非常に便利です。

オウルテックのワイヤレス充電器スタンド

充電速度が遅い?

前回の記事でも検証した通り有線の充電に比べると充電速度が遅いことは仕方がないこととされています。
その理由はなぜか。答えは「熱」に関係しているそう。

川本さんによると、「iPhoneなどの端末が一定以上の熱を持ってしまうとバッテリーが悪くなってしまう。ワイヤレス充電であると充電器の間が密着してしまっているため、端末が持つ熱と充電器が発する熱で温度が上がってしまう。なので、端末側で受け入れる電流の限界が決まっているんです」。
とのことです。

熱を持ちすぎないようにスマホがワイヤレス充電で受け取る電力に制限を設けてしまっているんですね。

現段階では充電速度が遅いワイヤレス充電ですが、今後、端末側の熱対応の技術が進めば充電速度も早くなっていくそうです。

バッテリーの持ちが悪くなる?

こちらも先ほど説明した通りスマホが受け取る「熱」が原因でバッテリーの持ちが悪くなることがあります。
iPhoneに搭載されているリチウム電池は35度以下で使うことを前提としているため、それ以上の温度での使用は電池に負荷がかかり劣化してしまいます。

しかし、ワイヤレス充電器がバッテリーに与える影響は大きくなく、今のiPhoneなど2年サイクルで購入を考えるとすればあまり影響はないとされています。

川本さんは「オウルテックのワイヤレス充電器は、充電器自体の温度が上がりすぎないように設計されている」と話していたため、充電器によって熱対応の設計は異なり、Qiの認証が取れていない安価な粗悪品であると、熱対応が十分でなくバッテリーにかなりの負荷がかかってしまう可能性もあるでしょう。

ケースをつけたまま充電できない?

充電器の仕組みとして、コイル同士による送電を妨げてしまうような分厚さや素材のケースであれば充電できません。
オウルテックのワイヤレス充電器であれば4mm厚は対応しておりiFaceのような分厚いケースでも充電することができます。
メーカーによっても対応できるケースの厚さは違うため、選ぶ際の参考にしても良いでしょう。

しかし、川本さんは「どのワイヤレス充電器であってもケースが付いているとコイルとコイルの距離が離れてしまっている分、磁束が漏れてしまい充電速度が遅くなってしまう」
と話していました。

アルミのような電気を通さないケースはもちろん、ケースにICカードが入っている場合も基本的には使用できないため、
ワイヤレス充電器において使いづらい部分ではあります。

身体への影響はある?

こちらもワイヤレス充電を使う際において心配になる方もいるかと思います。
川本さんに尋ねてみたところ、
「磁束は閉じた世界なので外部に漏れることはない」とのこと。
身体への影響は心配することなくワイヤレス充電器を使用することができます!

ワイヤレス充電は今後どうなる...?

いくつかのデメリットや制限があると思われていたワイヤレス充電ですが、いずれもスマホや充電器の開発技術が進むにつれて解決できるものでした。
Qi認証が取れている製品であれば危険性も全くないため、今後もさらに充電のワイヤレス化は広がっていくことでしょう。

また、電力を送るタイプについても紹介された「磁界共振タイプ」が実装されるようになると、
1つの充電器につき、周囲にある何台ものデバイスを同時に充電できる機能の搭載も可能となります。

スマホだけではなく、PCや車などにもワイヤレスで電力を供給できるような便利な社会になるかもしれませんね。

今回撮影・検証に使用したワイヤレス充電器

黒いシンプルなデザイン。
7.5Wに対応している急速充電ができるタイプのワイヤレス充電器です。

パッド型にもスタンド型にもなるため場所に合わせて使い分けることができます。
角度も0度〜90度までを自由に変えられるため、充電をしながら使いやすい位置でFacetimeや動画鑑賞をすることができます。

また、上でも記述した通り、コイルが2つある点もポイント。
充電の位置を合わせやすく、実際に筆者が1ヶ月間使用していても、充電の位置に関しては不便だと思うことはありませんでした。

ワイヤレス充電器には珍しく、1年間の保証もついているため安心して使い続けることができます。


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