
【メーカーに取材】プルーム・テックの身体への害は? 副流煙、ニコチン、タール……
目次
最近加熱式たばこが流行していますよね。
筆者自身アイコスとプルーム・テックを愛用しているのですが、「加熱式たばこ」と「紙巻たばこ」どちらが体に悪いのか全くわからず使用しています。「今後加熱式たばこを使ってみたいけど体に害はないの?」「使ってるけど少し害があるのか不安」など疑問を持っている人も多いですよね。
今回はそんなプルーム・テックの有害性についての疑問を解決するため、日本たばこ産業(JT)プルーム・テックブランディング担当の岩崎譲二さんに真相を聞いてみました。
2020年3月30日追記:20年3月26日にJTが公開した「プルーム・テック使用者の生体影響について」および、18年11月9日にJTが公開した「プルーム・テック使用時の体内に取り込まれる健康懸念物質量(曝露量)の低減について」の資料に基づき情報を追加しました。
そもそもプルーム・テックとは?

プルーム・テックの構成

プルーム・テックは、プルーム・テック・スターターキットに含まれている「プルーム・テックバッテリー」と別売りのメビウス・フォー・プルーム・テックに含まれる「カートリッジ」と「たばこカプセル」から成り立っています。
プルーム・テックを使うためには、どちらの商品も欠かせないということですね。
プルーム・テックの仕様

通常の紙巻たばこがたばこ葉を「燃焼」させ吸うことに対して、プルーム・テックはたばこ葉を独自の「低温加熱方式」で加熱し吸うたばこです。
吸い込むことで、中央の空気流入口から空気がプルーム・テック内に入り込み作動する仕組みです。そしてリキッドが熱されることにより蒸気が発生し、たばこカプセルを通過することでたばこベイパーとなります。
加熱するだけで吸うことができるため、火を使わず灰が出ないことが特徴的です。
プルーム・テックと紙巻たばこどちらの方が体に悪い?

たばこの煙には、三大有害物質のニコチンやタール、一酸化炭素が含まれています。普段たばこを吸わない人でも他人の煙を吸うと少量でも健康への被害を受けます。
プルーム・テックは紙巻たばこと比較してWHOが含有量低減を推奨している9つの(ベンゾヒレン、ホルムアルデヒドなど)の健康懸念物質(有害物質)が99%カットされたということですが岩崎さんに真相を取材しました。
※上記のWHOが含有量低減を推奨している9つの健康懸念物質とは、発がん性が懸念されている有害物質のことです。
また、「健康懸念物質」とは会社により健康懸念物質、有害性成分、有害性物質など表記の揺れがありますが、一般的に言う有害物質のことです。
この記事では、JTの資料にある健康懸念物質という用語を主に使用します。
なお、ニコチンはがん等の慢性疾患の原因にはならないと考えられており、9つの健康懸念物質には含まれていません。
ニコチン
岩崎さんによると、
「たばこ葉を使用しているため、ニコチンは含まれています」とのことです。
ニコチン量に関しては、通常の紙巻たばこのように直接たばこ葉を燃やす吸い方とは異なるため一概にニコチン量の比較はできません。
ニコチン面で考えると、紙巻たばことプルーム・テックどちらが体に悪いかどうかは判断できませんね。

18年11月発表の資料には、上の図のように、人への曝露量(体内に取り込まれる量)調査の結果が記載されていました。
紙巻きたばこを吸い続けた人、プルーム・テックに切り替えた人、禁煙した人の3つのグループに分けて調査した結果、禁煙した人は5日目にはニコチン量はほぼ0になっていました。プルーム・テックに切り替えた人のニコチン量は、紙巻きたばこを吸い続けた人と比べておおよそ半分になっていました。
タール
身体に害を与えるとされているタール。プルーム・テックを購入するか悩んでいる方はタールが含まれているのかどうかを心配されている方も多いですよね。
岩崎さんによると、
「プルーム・テックはたばこ葉を燃やさず、低温で加熱する低温加熱方式を採用しているため紙巻たばこの燃焼時に発生するタールは含まれていません」とのこと。
「低温加熱方式」によってタールを発生させないことは、身体への害も少ないと言えますね。タール面では、プルーム・テックの方が身体に優しいです。
健康懸念物質
先ほど述べた18年11月の資料には、ニコチン以外に、発がん性物質として知られているベンゼン、NNK、1,3ブタジエンなど、15種類の健康懸念物質について人への曝露量調査結果も記載されていました。
それによると、ほぼ全ての健康懸念物質に関して5日目には禁煙した人と同様のレベルまで下がっていました。ニコチンだけは、先ほどの図の通り、紙巻きタバコと禁煙のちょうど半分のレベル、ということなんですね。
におい
「カフェを再現した空間でプルーム・テックを吸い続けても、空気がほとんど汚れなかった」という検証も行われ実証されていると岩崎さん。
筆者自身も紙巻たばことプルーム・テックどちらとも愛用しているため違いがわかるのですが、プルーム・テックを吸った後でもほとんど匂いが残りません!
副流煙
副流煙に関しては、
「量は判定できないが吐き出すたばこベイパーにも結果的にニコチンは含まれています」と岩崎さん。
しかし、プルーム・テックは紙巻たばこと異なりプルーム・テック本体から煙が出ない事と煙の量が少ないことから副流煙による害は少ないとも言えます。
紙巻たばこVSプルーム・テック
紙巻たばこ | プルーム・テック | |
---|---|---|
方式 | 燃焼 | 加熱(低温加熱方式) |
副流煙 | ニコチン含まれる | 副流煙は発生しないが、吐き出したたばこベイパー(蒸気)にはニコチンが含まれる |
ニコチン | 発生する | 発生する(加熱方式が異なるため量の比較は難しいが、JTの研究結果によると半分程度) |
タール | 発生する | 発生しない |
におい | 強い(臭気濃度:7400) | ほぼ無臭(臭気濃度:74未満) |
健康懸念物質(ベンゼンなど) | 発生する | 発生するが、紙巻きたばこと比較し99%削減(実験では、禁煙した人と同様のレベル) |
紙巻たばことプルーム・テックの有害性について比較してみました。
ニコチンの面ではプルーム・テックにも含まれているとのことです。しかし、タールや副流煙、においの面ではプルーム・テックの有害性は紙巻たばこに比べ圧倒的に減少していると言えますね。
プルーム・テック(加熱式たばこ)だけに存在する有害物質はあるの?
ここが問題ですよね!
「ニコチンやタール以外の何か悪いものが含まれてるのではないか」なんて私も思ったように、みなさんも思ってるのではないでしょうか。
しかし岩崎さんによると、
「プルーム・テックから発生するたばこベイパーについて科学的調査をしたところ紙巻たばこに比べ約99%健康懸念物質が低減した」とのことです。
なお、現在においても健康懸念物質についての調査が引き続き行われているそうです。
懸念していた有害物質ですが、紙巻たばこに比べ99%低減したということなのでひとまず安心ですね。
健康への影響はどれほどあるの?
・アイコス、グロー:健康懸念物質90%カット
・プルーム・テック:健康懸念物質99%カット
このデータからはプルーム・テックの健康へのリスクは少ないと考えられますね。
岩崎さんからは、
「健康へのリスク減少を期待していますが、まだ結論付けられない」とのこと。
人体への影響に関しては膨大なサンプル数、なおかつロングタームで試験を行わなくてはならないため現在も臨床試験を行っている最中とのことです。
99%カットで健康被害減少の期待がありますが、喫煙自体そもそも健康へのリスクを伴うものですから一定のリスクはあると考えていいのではないでしょうか。
そんな疑問に対する答えが、20年3月に発表されたJTの調査に記載されています。
調査は、プルーム・テック使用者259名、紙巻きたばこ喫煙者100名、非喫煙者100名の21歳以上65歳未満の男女に対して行われました。
調査対象となったのは、以下の生体指標です。
心筋梗塞に関連があるとされる指標:①白血球数、②sICAM-1、③8-epi-PGF2α、④11-DHTXB2、⑤2,3-d-TXB2、⑥HDLコレステロール
肺気腫などの肺疾患に関連があるとされる指標:⑦%FEV1

調査結果は、上のグラフにまとまっています。①~⑦の指標すべてで、プルーム・テックを吸っているグループは、紙巻きタバコを吸っているグループよりも禁煙者のグループに値が近いことが確認されています(完全に同じ、というわけではありません)。
この調査結果では、がんとの関連については明らかになっていません。
がんとの関連についてJTに伺ったところ、現段階では、たばこと発がん性のリスクを調べる方法が確立されていないため、調査することが難しいようです。
JTから以下のようなコメントが寄せられています。
紙巻たばこから「プルーム・テック」に切り替えた場合、体内に取り込まれる、発がん性物質の量は禁煙をした場合と同様のレベルであることを確認しており、プルーム・テックには、喫煙に伴う健康へのリスクを低減できる可能性があるものと期待しております。プルーム・テックが、リスク低減製品であると結論づけるには、製品使用状況や健康影響などの長期的な調査も必要と考えており、引き続き科学的評価を進めていきます。プルーム・テックをはじめとする、リスク低減製品の使用とがんとの関係性については、多くの方が興味を持たれるところと理解しております。リスク低減製品の開発や評価の研究について、引き続き一層努力いたします。
今後、調査方法の開発・改善により、がんとの関連性が明らかになることを期待したいですね。
吸った際の喉のイガイガの原因と対処法は?

原因
私自身この吸った際アレルギー症状のような喉のイガイガを経験しました。「なにか有害物質によって喉が傷ついているのでは」なんてビクビクしてました。
この喉のイガイガの原因を岩崎さんに伺ったところ
「喉に疾患があったり、敏感な方はイガイガされる方もいらっしゃる。その場合は使用を控えて頂きたい」とのこと。
プルーム・テックに何か炎症を起こす作用があるのかと思っていましたが、
「何か特有の成分が引き起こしているというわけではないが、違和感を感じられる場合には使用を控えて頂きたい。カートリッジ内のリキッドに関しても食品や化粧品に使われる食品添加物に使用されているものです。」と岩崎さん。
しかし、喉に疾患がある方や敏感なの方は使用を控えた方が良いとのことです。
明確な原因がわからず少しモヤモヤが残るところですね。
対処法
「やめたくない!吸いたい!」という思いから岩崎さんにダメ元で対処法に関しても伺ったところ、
「例えば、フレーバーによっては、イガイガしないという方もいらっしゃいます」とのこと。
みなさんも喉がイガイガするけど吸いたいという場合は別のフレーバーを試してみてはいかがでしょうか。しかし、それでも喉のイガイガが治らない場合は早急に使用を止めてください。
まとめ
結論としては、ニコチンは含まれるがタールは含まれないということでしたね。また、副流煙も発生しないことから、副流煙の影響も緩和されているのかと。
「低温加熱方式」によって99%有害物質をカットしたという事実からもプルーム・テックの健康へのリスクは低減した可能性が高いですね。
しかし岩崎さんが仰っていたように「健康へのリスクが低減したと結論付ける事は現状できない」事からも一定のリスクがあることを知った上でプルーム・テックライフを楽しみましょう。
編集部では、プルーム・テックの使い方や充電方法についても以下の記事で紹介しています。気になった方は是非ご覧ください。
20年3月現在、本記事で紹介したプルーム・テックの他に、プルーム・テック・プラス、プルーム・エスが発売されています。
プルーム・テック・プラスは、従来のプルーム・テックより吸い応えを高めたものです。従来のものとカートリッジの構造が違うため、互換性はないので注意です。
プルーム・エスは、シリーズ中唯一のスティック型で、よりキック感を味わうことができます。ただし、においも増加しています。
プルーム・テック、プルーム・テック・プラスは健康懸念物質を約99%低減しており、プルーム・エスは約90%以上カットに成功しているそうです。
周囲に配慮し、シーンに合わせて使い分けができるのもいいですね。