一眼動画時代のブライダル撮影術〜プロのビデオグラファーから学ぶ
人生の晴れ舞台となる結婚式。そんな結婚式をかっこよく、美しく撮ってあげたいですよね。
そこで今回は、プロのビデオグラファーが一眼カメラを使ったブライダル撮影術を紹介するイベントを取材してきました。講師はウェディングビデオグラファー歴14年で、Tomato Red Motion代表の次石悠一さん。
機材の選び方からカメラワーク、構図といった撮影テクニックをはじめ、自然な姿・良い表情を撮るための「技」も紹介してくれた。
撮影機材選びのポイントは「機動力」
今回取材したのは9月25日に株式会社システムファイブが主催した「一眼動画時代のブライダル撮影術」。
次石さんが最初に取り上げたのは機材選びのポイント。以前はフルサイズの一眼レフを使っていた次石さんだが、最近は「機動力」を重視し、小型・軽量のミラーレスに変えた。
ブライダル撮影は会場の広さや時間など制約があることが多い。そのため小回りがきいて、様々なアングルで撮影できるのは魅力だ。
被写体もカメラを意識しないで式に臨めるらしい。
使用しているカメラはソニー α7S II。小型で手ブレ補正機能が付いている次石さんオススメの1台だ。
レンズはZEISS。
ボディーを変えてから特に肌の色を追求した結果、このレンズにたどり着いた。
使用するのは21mm〜100mmの単焦点レンズ。
ズームレンズの方が小回りが効きそうだが、あえて単焦点を選んだのは映像がより綺麗だから。
このほか、ピントや色を確認するためのモニター(smallHD FOCUS)、動きのある絵が撮れるスライダー(edelkrone)、手ぶれ補正機能をもったジンバル(DJI RONIN-S)など、様々な機材を使って撮影に幅を持たせている。
撮影は「S-Log2」で撮っている。(下の写真左)
「S-Log2」はソニーのカメラで使えるLogフォーマットで、撮影後に色を調整するカラーグレーディングがしやすい状態で記録することができるのが特徴だ。
ただ撮影時は色の具合がわかりにくいため、次石さんはLUT(Look Up Table)を当てた状態でモニターしながら撮影し、適正色温度での撮影を意識している。(下の写真右)
LUTというのはLog素材を後処理で好ましい色に再現(変換)する役割があるが、これを当てながら撮影すると色合いなどを間違えずに撮ることができる。
ブライダルならではの撮影術
次石さんが次に紹介したのが「ビデオ構図」と「写真構図」の使い分け。
「パンやチルトといったカメラワークを得意とする『ビデオ構図』は期待感・感動を表すのが得意。一方でフィックス寄りの『写真構図』はオシャレ感を取り込むのが得意だと思います」
ビデオ構図だけだと「キメキメ」の映像になりがちだが、写真構図を取り入れることでキメすぎないオシャレ感が入るのだという。
そしてもう一つ、バックアップの準備もポイントとしてあげた。
撮影チャンスが一度しかなく、失敗が許されないのもブライダル撮影の特徴。セカンドカメラマンがいなければ一人で撮影するため、2台目のカメラで広角で全体が映るように撮影しておいた方が撮り逃しを防げる。
良い表情を引き出すために大切なこと
機材選びやカメラワーク、構図とともに重要なポイントとして紹介したのが、被写体の自然な姿を撮るための声のかけ方とタイミングだ。
そのためのキーワードは「主体性」。
映画監督のように、被写体が自分の意志で行動しようとする姿を引き出すことが、見る側に「感動」を生むという。
たとえば、「はい、笑ってくださ〜い」ではなく、被写体が自ら笑いたくなるような声がけの方がより自然な表情を引き出す。
次石さんが紹介したのは、母親が嫁ぐ娘に口紅を差すシーン。この時、母親にかけた言葉は「娘さんに生まれた時の話を聞かせながら口紅を差してあげてください」。
映画監督と役作りの関係を意識している次石さん。
「適切なタイミングでどう声をかけるか。被写体とコミュニケーションをとることがブライダル撮影では大切です」
次石 悠一さん
Tomato Red Motion代表。ウェディングビデオグラファー歴14年。「結婚を決めたふたりの想い」を伝える鮮烈で美しい映像は強い共感を呼び、これまでのウェディングムービーにはなかった新たな世界観として評価されている。現在は世界各国への撮影依頼もあり、より活動の幅を広げている。
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