【種類別】日本酒のおいしい飲み方 古酒や原酒をもっと楽しめる!

nagiy
公開: 2018-09-14
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季節を問わず様々な飲み方ができる日本酒。いざ酒屋さんなどで購入しようとしても、たくさんの種類があって迷ってしまう方も多いと思います。

辛口甘口、純米酒に吟醸酒、古酒に生酒、原酒となってくれば、何が何だか分からなくなってしまうもの。それぞれどういった違いがあり、どのような飲み方がおいしいのか、日本酒にこだわりだした方こそ気になるものでしょう。


         
日本酒の代表的な種類
原酒 酒造りの最後に水で割らない日本酒
古酒 製造後、1年以上寝かせた日本酒
生酒 製造中1度も加熱処理をしない日本酒
にごり・うすにごり 完全に濾過しない日本酒
ひやおろし 2度目の加熱処理をしない日本酒

そこで今回は、日本酒の中でも古酒や原酒など、少し変わった日本酒のおいしい飲み方を見ていきましょう。
上記表で簡単に紹介している点を、詳しく解説していきますね。

ちなみに、冷酒や燗など、この記事に出てくる日本酒の飲み方については以下に詳しく書いてありますのでご参考にしてください。

原酒のおいしい飲み方

原酒とは、名前のイメージからわかるように、日本酒そのものの味わいを楽しめる状態を指します。

日本酒に限らず「焼酎」などでもみられるものですが、原酒とは出来上がった日本酒そのものを商品化した物。そもそも日本酒は出荷の前に最後の工程として水を加えてアルコール濃度を落とす「加水」があります。原酒はこの水を加える工程を省いたものですね。

水を加えていないことから、アルコール度数が高く日本酒本来の味わいを濃く残している点が大きな特徴。そもそも販売されている日本酒は水を加えているものだった、このことを知らない方からすればびっくりするような工程ですよね。

”水を加えていない”日本酒である原酒は、一般的に販売されている日本酒よりもアルコール度数も高くなっています。一般的な日本酒の度数が14~16℃であることに対し、原酒の平均的な度数は20度前後と少し高めなところも特徴的です。

そんな原酒のおすすめになる飲み方は「オン・ザ・ロック」。
原酒だからこその濃い味わいを楽しみながらも、時間が過ぎるごとに口当たりの良さを感じることができますよ。またはキンキンに冷やして冷酒にすると飲みやすく感じるでしょう。

原酒を飲んでみたい方はこちらの「風の森原酒」がおすすめ。
原酒の中でもアルコール度数が低い方なので、お酒を飲み始めたばかりの方でも飲みやすいですよ。

古酒のおいしい飲み方

続いて紹介していくのは日本酒の中でも「古酒」と呼ばれているもの。

古酒の名前を読めばわかるように、長く寝かされてきた日本酒なのではないかと感じますよね?この定義は正解であり不正解でもあります。実は日本酒における古酒とは、ごく浅い2~3年物から、30年以上のものまでその長さが幅広く取られています。

古酒と一言で言っても定義そのものがとても曖昧なのです。一例を挙げれば、メーカーが古酒として売り出したとしましょう。するとそれだけで2~3年寝かせただけのまだ若い日本酒でも古酒として売り出されます。かと思えば、酒屋さんが温度・湿度調整をしながら10年単位で寝かせた古酒もあります。それぞれ味わいが異なってくるので、さまざまな古酒を楽しむことができる奥の深い日本酒だともいえるでしょう。

そんな古酒の特徴となるのは、とろりとした柔らかな口当たりと甘さ。時間をかけて寝かせることにより、お米の甘さが凝縮したような、より香り高く甘いお酒になります。また、長期間寝かせた古酒になれば香りも独特な芳香となり、一見しただけでは日本酒とは気づけない方も多いはずです。

同じ日本酒でも寝かせることによってこれだけ味わいが違うのか、とさらなる日本酒の魅力を見つけることができるでしょう。

おすすめになる飲み方は常温である「冷や」または「ぬる燗」。
どっしりと濃い味わいを持つ古酒は、冷やしすぎたり熱しすぎると特有の甘さを感じにくくなってしまいます。また、独特な香りをより楽しみたいと考えるのなら、香りが立ちやすいぬる燗推しともいえますね。

新酒が珍重されがちな日本酒ですが、自宅でしっとりと古酒も楽しみたいならおすすめの日本酒はこちらの「酔心」。
隠れた酒どころでもある、広島産の日本酒をいただいてみてはいかがでしょうか。

生酒のおいしい飲み方

生酒。こちらも読んで字のごとく「生」のお酒かな?と何となくイメージがわきそうですよね。
ただ、日本酒の生といわれても「何が生なのかさっぱりわからん」となる、こんな方も多いでしょう。多くのお酒造りがそうであるように、日本酒を作る際にも多くの工程があります。その中でも安定した品質を保つために必須となる工程が「火入れ」と呼ばれる、加熱処理の工程。

お酒そのものの温度を50~60℃に温めることによって、雑多な酵素や微生物の活動を抑止させる低温殺菌法ですね。生酒はこの加熱処理を一切していない日本酒のことを指します。

加熱処理をされていないことから、よりフレッシュな味わいを楽しむことができますよ。ただ生酒の味の特徴は、元となる日本酒の味わいに左右されるので一概に「甘い・辛い」とはいえません。一般的な日本酒よりも香りが華やか、かつ口当たりの丸さが共通した特徴といえるので、いろいろと試してみるのも楽しい日本酒でしょう。

そんな生酒のおすすめの飲み方はキンキンに冷やした「冷酒」。香りが強いのでしっかりと冷やした状態でも、香りを損なうことがありません。むしろ日本酒初心者さんには香りがきついと感じることもあるので、最初は冷酒でいただくのがおすすめですよ。

生酒のフルーティさを楽しみたいならこちらの「夜明け前」がおすすめです。
香りの立ち方が少し弱めなので、日本酒の香りが苦手な方でも楽しむことができるでしょう。

にごり・うすにごりのおいしい飲み方

少し特殊な日本酒の中でも、多くの方が見たことがあるであろう「にごり・うすにごり」。
こちらも読んで字のごとく、そして酒瓶を見れば一目でわかるように「もろみ」を粗く漉したものが、にごり・うすにごりと呼ばれる日本酒です。にごりとうすにごりの違いは、このもろみを漉す際にどれだけ粗く漉したかの違い。そして意外なことににごり・うすにごりはいわゆる「濁酒」ではありません。

これだけを聞いていくと「何を言っているのかわからない」と感じる方も多いでしょう。
そもそも日本酒を作る際に必要となる原料は、基本的に「米+水+米麹」です。これら原料に酵母を足してアルコール発酵をさせることによって生まれるのが、濁酒(どぶろくなど)に沈殿している「もろみ」。このもろみを漉すことで一般的な透き通った日本酒ができるのです。

したがって、もろみを全て残しているわけではないけれど、完璧に漉さないものが、上記紹介したように「にごり・うすにごりの日本酒」になるのです。

このにごり・うすにごりのおすすめな飲み方は、基本的に「冷酒」。そもそもにごり・うすにごりは冷暗所での保存が推奨されているので、改めて温めるよりもそのまま冷酒でいただいた方が簡単という面もあります。

また、通の飲み方をしたいなら、にごりの「滓(オリ、沈殿しているもろみ部分)」を混ぜずに飲む方法がおすすめ。基本にごり酒は、優しく瓶を傾けることで滓を全体にいきわたらせてから飲みますよね。しかし、あえて透き通った部分と、滓が沈殿している部分を分けて飲むことで、2通りの味わいを楽しむことができるのです。滓部分は甘味を強く感じるので、甘めのお酒が好きな方にこそ試してほしい飲み方ですよ。

にごり・うすにごりでおすすめしたいのはこちらの八海山。
微発泡性のにごり酒なので、飲み口が軽く日本酒初心者さんでもすいすい飲めますよ。

ひやおろしのおいしい飲み方

ひやおろしは秋の日本酒としても有名なお酒。そもそもひやおろしが誕生したのは江戸時代の話です。
一度も火入れ(加熱処理)をしていない日本酒を生酒といいますが、日本酒を作る工程では2度の加熱処理があります。絞られたばかりの新酒の風味を損なわないように処理をする春先の火入れ、そして桶に貯蔵したまま夏を越した後、出荷する前に行われている火入れ。

ひやおろしはこの2回目の火入れを行わない日本酒になります。火入れを行わないままに商品としておろしているので「冷や」おろしと呼ばれるのですね。

新酒として絞られた後1度だけ火入れをし、暑い夏を涼しい蔵の桶の中で眠らせ、涼しい秋に目覚めさせることから秋が旬の日本酒といわれています。また、一言でひやおろしといっても、9、10、11月に分けて出荷されるので、それぞれ秋が深まるにつれ違った美味しさを楽しむことができる日本酒でもあります。

ではそんなひやおろしのおいしい飲み方とはどのような飲み方になるのでしょうか?
実はひやおろしは、卸した時期によって名前が変わってきます。それぞれ9、10、11月に限定的に卸されることとなり、通年を通して楽しむことができないからこそ、ひやおろしは日本酒の旬を表すお酒。

それぞれのおすすめの飲み方と、呼び方は以下の通りになるので参考にしてみてくださいね。

夏越し酒(なごしざけ)

ひやおろしとして1番初めに卸される日本酒。
9月に出回り始め、1番早く出荷されることから熟成が浅い日本酒でもありますね。新酒にありがちな角の立った感じが薄れ、まろやかさを感じることができます。芳醇でありながら軽快な味わいは、日本酒初心者さんにこそ飲んでみてほしい日本酒といえるでしょう。

おすすめの飲み方はキンキンに冷やした「冷酒」。時期的にまだ暑いこともあるので、みぞれ酒にして楽しむこともおすすめですよ。

秋出し一番酒(あきだしいちばんざけ)

10月に解禁されるひやおろしのことですね。
しっかりと熟成が進んでいながらも、火入れが1度しか行われていなかったことから、どこかフレッシュさも感じられるバランスのいい日本酒。ひやおろし特有のおいしさを一番体現できている日本酒ともいえるでしょう。

おすすめの飲み方は、常温である「冷や」。雑味や渋みが少ないので、日本酒そのものの味わいを存分に楽しむことができるでしょう。また、冷酒でも熱燗でもオールマイティな日本酒でもあるので、自身の一番好みの温度を見つけることもおすすめです。

晩秋旨酒(ばんしゅううまざけ)

秋も深まった11月に出回るひやおろし。
十分に熟成が進んでいることから、非常に旨みが強いひやおろしです。旨みが深まっている日本酒であるからこそ、名前も「旨酒」とつけられているのですね。濃厚、芳醇という言葉がぴったりな日本酒なので、日本酒玄人さんでも満足できるでしょう。

おすすめの飲み方は、寒さが気になりだす時期でもあることから「ぬる燗」「熱燗」です。ゆっくりと更けていく夜、少しずつ寒くなっていく季節を、舌の上からも味わってみてはいかがでしょうか。

そもそも日本酒とは?純米酒と醸造酒の違い

日本酒の写真

ここまで原酒や古酒、いつも飲む日本酒とは少し違った日本酒を紹介してきました。ではそもそも日本酒とは、どのように作られており、どのような材料で作られているものなのでしょうか?

日本酒は大きく分けて2つの種類があるといわれています。よく聞く「純米酒」と「醸造酒」です。

純米酒、醸造酒ともに基本的な作り方に大きな違いは無く、精米→蒸し工程→仕込み→上槽→滓引き→濾過→火入れ→貯蔵→火入れ→瓶詰め。このようになります。とてもざっくりといってしまえば、お米を蒸した後に用意しておいた麹菌と合わせもろみを作ります。アルコール発酵をさせたあと段々にもろみを濾過し、火入れを行うことで日本酒となるのです。

上記までで紹介してきた原酒などは、この基本の作り方から工程を省いているようなイメージになりますね。

ここからはこの2つの種類の日本酒の原材料、そもそもの作り方の違いを見ていきましょう。

純米酒とは

純米酒と醸造酒。一番大きな違いとなるのが原材料の違いです。
純米酒とは水とお米、そして米麹だけを使って作られる日本酒のこと。よく聞く「磨き」とは原材料となっているお米の精米具合を指します。純米酒で使われるお米の精米歩合は規定がなく上限もありません。磨けば磨くほど雑味が少なく、旨みの濃い透き通った味わいになるのです。

ごくシンプルな材料で作られる純米酒は、使われているお米、そして水の味わいをダイレクトに楽しむことができる日本酒。また、最もスタンダードな日本酒ともいえますね。

醸造酒とは

純米酒との違いは原材料に、水、お米、米麹以外に「醸造アルコール」の添加があるかないか。
よく誤解をしている方がいますが、別途アルコールを添加してるからといって、混ぜ物をされた日本酒を指しているわけではありません。

醸造アルコールは、酒蔵によって違いがあり、古くから醸造アルコールを採用した酒造りをしている蔵では、門外不出のものとして扱われているものもあります。そもそも醸造アルコールはかさ増しのために入れられるものではなく、日本酒の香りを引き立てたり、味わいに変化を付けるためのもの。言い方を変えれば、お米以外のおいしさを持つ日本酒ともいえますね。

純米酒と醸造酒の違いとなる、醸造アルコールの添加は「上槽」の直前になります。

まとめ

いつも飲む日本酒とは少し違った、古酒、原酒など紹介してきました。
すでに日本酒のおいしさを知っている方はもちろん、初めて日本酒にチャレンジしてみようと考える方も、気になる日本酒はあったでしょうか?
温度を変える飲み方はもちろん、日本酒にはさまざまな味わいを楽しめる懐の深さがあります。
ぜひ自分が一番気に入る日本酒を見つけてみてくださいね。


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