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1点でバランスを保つ謎の立方体!JAXA開発『超小型三軸姿勢制御モジュール』

kaorunrun
2017-11-15
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一見なんの変哲もない一辺10cmの小型立方体、『超小型三軸姿勢制御モジュール』。
この立方体、なんとも不思議な動きをします。わずか一点で立ってバランスを保つんです。
そして実は宇宙開発分野をはじめとする無限の可能性が秘められている物体なのです。

▲『超小型三軸姿勢制御』をサクッと紹介する1分動画はこちら

驚異のバランス力

一辺で起き上がる

ただの箱が自力で起き上がりつつバランスを保ち...。

一点で立つ

なんと最終的には一点でバランスを保ち続けます!

自分で起き上がりそのままの姿勢を維持する不思議な立方体。
1点の角で立ち続けるなど不安定な動作も難なく行なっているように見えるこのバランス力。
一体どのような原理が働いているのでしょうか。

内蔵された円盤(ホイール)が秘訣

急に起き上がるのはどのような仕組みになっているのでしょうか。
超小型三軸姿勢制御モジュールには、円盤(ホイール)が内蔵されています。
内部で1分あたり約2500回転しているホイールを急に止めることで、反動でモジュールが起き上がるという仕組みになっているのです。

ブロック塀の上などの不安定な場所に立っていてバランスを崩しそうな時、腕を回してバランスを取ろうとしたことはありませんか。
起き上がった超小型三軸姿勢制御モジュールがバランスを保つのも同じ仕組み。
モジュールが起き上がった後は、別軸のホイールが回転し始めるように制御が自動で切り替えられ、今度はバランスを取れるようになります。

またもしモジュールが傾きかけても、内部のホイール回転の加速・減速の反動(作用・反作用の法則)を利用して傾きが修正されます。
そのため多少の重りやつついたりといった動作ではバランスを崩すことはありません。

※11/20追記:「これ、ジャイロ効果とは違うの?」と思ったあなたに。記事の最後にさらに詳しい説明を加えましたので、ぜひご覧ください。厳密にはジャイロ効果とは違うそうです。

JAXA初の移動型カメラ『Int-Ball(イントボール)』にも利用

Int-Ball

この不思議な箱はすでに宇宙開発にも使われています。
JAXA初の移動型カメラ『Int-Ball(イントボール)』はその一例。
今年2017年6月の「きぼう」での実証実験で、姿勢制御モジュールを搭載したInt-Ballが使われました。
なおこの時に搭載されたモジュールは、さらに小型化に成功した31mmのもの。

動画撮影

姿勢制御モジュールを搭載したInt-Ballは、無重力という不安定な空間でも静止して動画や写真を撮ることなども可能。
自分で位置をコントロールすることができるので、あとは遠隔操作で飛ばして移動させ船内の様子を撮影します。
撮られた映像はリアルタイムで地上に送られています。

遠隔操作を可能にすることで地上と宇宙飛行士の共同作業をスムーズにしたり
これまで宇宙飛行士自らが行っていた動画撮影の手間などを省くことなどが目標とされています。

宇宙にも、家庭にも。無限の可能性

『超小型三軸姿勢制御モジュール』は将来的に様々な分野での応用が期待されています。
超小型衛星、航空ドローン、惑星探査、集団群制御など、この超小型モジュールがあることで小型化や低コスト化、省スペース化に貢献できる分野がたくさんあるそう。

JAXA広報によれば、JAXAとしての計画はないものの地上ドローンの姿勢安定装置、小惑星『イトカワ』のような微小重力天体や火星のような重力天体の表面上を転がって移動する探査ロボットなどの分野での応用が想定されているとのことです。
また一般家庭で使われるものにもこの技術は十分応用でき「例えばロボットへの応用、ホビー化、アートオブジェなど、この技術を事業に使いたいという方があればJAXAとしても相談に応じたい」そうです。

小さな箱に大きな可能性が詰まっています。

詳細はこちらから

ジャイロ効果とは違うの?(11/20追記)

記事を配信して、「ジャイロ効果とは違うのでしょうか?」という質問を読者の方からいただきました。
JAXA広報部の担当者に確認したところ、厳密にはジャイロ効果とは違うとのことでした。
以下のやりとりをご覧ください。

Q:このモジュールが回転するのは、ジャイロ効果が働いているからではないのでしょうか?

A:ご質問ありがとうございます。まず、辺や角で倒立する原理は、「ジャイロ効果」とはちょっと異なるということをお答えしておきます。「ジャイロ効果」は、一般には物体が自転運動をすると(自転が高速なほど)姿勢を乱されにくくなる現象です。高速回転するコマが倒れないのは、まさに「ジャイロ効果」の説明に使われる好例です。

あのロボットが倒れないのは、力学法則としてはより根源的な、作用反作用の法則に基づいています。ホイールをモーターで回転させると、モーターのついている本体側は、ホイールを回転させた方向と逆側のトルクを反動で受けます。そのトルク反動を用いて制御をしています。

腕をぐるぐる回す例えが分かりにくかったかもしれないので、もうひとつ他の例で説明します。回転する丸椅子に座って足を床に付けない状態で試してみることができます。その状態で、両腕をまっすぐ横に伸ばした状態で、その両腕を右か左に回してみます。すると、丸椅子に座った上半身は、腕を回した方向とは逆向きに回るはずです。腰が大きくひねられるのが体感できると思います。この、腕を回すと体が逆向きに回る原理も、作用反作用の法則に基づいています。

どちらの例えの例も、腕を少し回転させただけで、体の姿勢を変更できると言うことに注意してください。つまり、「ジャイロ効果」の例で説明されるようなコマのように、高速で軸回りに回転させる必要は必ずしも無いのです。

あのロボットも、倒立中のホイールの回転速度が動画では伝わらないですが、ホイールの回転速度は実は非常にゆっくりであり、1分間に100回転から200回転くらいです。コマのように高速で内部のホイールを回しているわけではありません。あのロボットを生で見られた方は、よく、「もっと高速でホイールが回転しているのかと思ったが、予想以上にホイールが殆ど回転していなかったのでびっくりした」と感想を仰る方が多いです。

Q:レーザージャイロの方が小型で軽量にでき故障率も減らす事ができて信頼性が向上するのに、なぜ今更ながらのコマ利用ジャイロなのでしょうか?

A:コメントありがとうございました。レーザージャイロと仰っているのは、おそらく航空機やロケットの回転角速度を高精度に検知できるリングレーザ―ジャイロ(RLG)のことかと思われます。仰る通り、RLGは、回転するコマ利用した方式のジャイロよりも、回転するような機械稼働部品が少なくて信頼性が高いセンサーとして広く利用されています。

しかしながら、注意いただきたいのは、RLGは回転角速度を検知する「センサー」でして、物体の角速度や姿勢の運動を変更(制御)するような「アクチュエータ―(動力装置)」としては用いることはできないということです。

どちらも回転する円板を用いているためか、よくいただくコメントや質問では、
1.姿勢を制御する「アクチュエータ」:”リアクションホイール”装置
2.回転角速度を検知する「センサー」:”ジャイロスコープ”装置
の2種の混同が見受けられるものを頂きます。

今回ロボットに利用しているのは、1の目的の”リアクションホイール”であります。”ジャイロスコープ”あるいは”ジャイロ”と呼ばれるものは2の意味の方でこちらはセンサーです。

このロボットは、姿勢を検知するセンサーとしては、MEMS技術を使った3mm角チップにまで小型化したジャイロを載せていて、そちらのMEMSジャイロで回転角速度を検知しています。


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